続きです。

オクサナ・バイウルは、プロ転向後、アイスショーに出て、莫大なギャラを手にした。
彼女のお陰で、アイスショーは大盛況。
オクサナ・バイウルのアイスショー1本のギャラは、最高20万ドルと言われた。
まだ16歳だったオクサナ・バイウルは、アマチュアに戻って競技を続けるだろうと、
国際スケート連盟(ISU)は見込んでいた。
大人気のオクサナ・バイウルに、もう一度、次のオリンピックである、長野を目指して欲しかっのである。
しかし、一度プロの甘い蜜の味を覚えたオクサナ・バイウルは、
「オリンピックに向けて、厳しい練習はもうしたくない」と、アマチュアには戻らなかったのである。

それで、多くのアマチュア選手が、プロへ転向していく現状にISUは危機感を感じ、アマチュア選手を引き止めるために、
「グランプリシリーズ」という、賞金大会を新設したのである。
アマチュアの試合に賞金を出す、という画期的な改革であった。
グランプリファイルで優勝すると、5万ドルの賞金が出た。
この、ISU主催のアマチュアの試合で、賞金が出るようになったのは、オクサナ・バイウルのお陰で、
アメリカでのフィギュアスケートが大ブームになり、
テレビでの莫大な放映権料が、ISUに支払われたためである。

しかし、後に、オクサナ・バイウルも、1997年に飲酒運転で逮捕されてしまい、アメリカのフィギュアスケートブームは、終わりをつげた。

以後、オクサナ・バイウルに代わるスター選手が、アメリカでは登場していない。
世界選手権で5回優勝したミッシェル・クワンも、とうとうオリンピックでは優勝できず、引退してしまった。
とにかく、オリンピックで金メダルを穫らないと、
全否定されてしまうような風潮が、フィギュアスケート界には、あるように思う。

アメリカでのフィギュアスケートブームの時は、年間17試合あったプロの大会も、2006年には僅か2試合まで減ってしまった。
それが原因で、ISUに支払われる放映権料が減ってしまい、グランプリシリーズの賞金も減額されてしまった。
今では、グランプリファイルの優勝賞金は、25000ドルになっている。
もし、アメリカのフィギュアスケートブームの最高潮の時に、荒川静香さんが、プロに転向していたなら、現在よりも何十倍のギャラを手にしたと言われた。
続きはのちほど。