ネパールでNGOトンズラ?! | It's a small WORLD!

ネパールでNGOトンズラ?!

他人事とは思えない記事を発見したので、取り上げることにしました。


2008年2月26日付け読売Onlineより



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外務省無償協力のNGO事業が頓挫、1200万円回収不能


外務省の無償資金協力を受けて民間活動団体(NGO)がネパールで計画した事業が頓挫し、NGOの解散で約1200万円が回収不能となっていることが26日、わかった。政府が同日の閣議で決定した鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に対する答弁書で明らかにした。


答弁書などによると、問題のNGOは「幼少児国際教育交流協会」(久野登久子会長)で、1996年にネパールで灌漑施設と職業訓練施設の建設を計画。外務省は「草の根無償資金協力」として約1600万円を同協会に供与したが、建設は進まず、協会は2000年に事業を放棄した。外務省は同年、未実施分約1200万円の返還を求めたが、協会は02年に解散し、資金回収が不可能になった。外務省は「極めて例外的で悪質なケース。その後は援助を受けるNGOに外部監査を義務づけるなど、制度を改善した」(無償資金・技術協力課)と説明している。

(2008年2月26日22時20 読売新聞)


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外務省草の根無償資金協力は、国際NGOまたは現地NGOに対して学校・職業訓練施設・灌漑設備・診療所の建設や地雷・平和教育等に必要な資金を供与するというスキームだ。供与額は比較的小規模で、国によって実施案件数はまちまち。


私はかつてアフガニスタンで草の根無償の仕事をしていたが、プロポーザルを提出するNGOの中には怪しい&どうしようもない団体に多く出会った。

君たちはNGOという名の建設会社と同じじゃないか!という団体とかね。

数年後には撤退・崩壊してるかもしれない…という団体も決して少なくはなかったし。


だから、ネパールでの案件不履行のケースは他人事とは思えないのだ。

「外部監査」を義務づけたと言うが、現地NGOがきちんと外部監査を受けることができるかどうかは

国の情勢に依存すると思われる。

アフガニスタンでもある時から、NGOに外部監査報告書を提出してもらうようにと上からの指示が出た。

2004年当時、現地NGOは隣国パキスタンかイランの外部監査機関によってチェックを受ける術しかなかった。

ネパールがどんな状況かわからないが、外部監査を受けられるほどのNGOがどれだけいるのだろうかと思う。


本当はフットワークの軽い点が草の根無償であると私は考える。

が、実際にはNGOがプロポーザルを提出してから、大使館員と面接をし、外務本省での審査・承認を経て、

送金され、プロジェクトが実施されるまでには思いほか時間がかかってしまうものだ。

その間、ネパールやアフガニスタンのような政情不安の地域ではプロジェクト履行が

困難な状況に陥ることも否定できない。


国際NGOに占領されることなく現地NGOにはもっともっと頑張って欲しい。

が、国際NGOと肩を並べてやっていくには、有能で経験のある現地NGOが必要だ。

でもお金がないと経験が積めない。

今回議員に言及されたNGOは日本の団体であるのでこの範囲ではないが、現地NGOを育成しながらも

現地のニーズに応えると共にODAを有効に使う方法があれば一番良いのだけれど…。

(という意味でも、この日本NGOの顛末は恥ずかしいと思う。)