ボミ郡フィールド調査
第一回目フィールド調査に行ってきました!
行き先は、首都モンロビアから1時間半程離れたBomi County(郡)。
この地域にはパキスタン軍がPKO要員として駐留しています。
先日駐留が1年延長されたUNMIL(国連リベリア・ミッション)ですが、
リベリアのPKOの規模は最大と言われていて、現在15,000人が派遣されています。
Tubmunburgという街にあるNGOの事務所兼ゲストハウスで1泊。
地域事務所は、リベリア人によって管理されていてインターナショナルスタッフはいません。
彼らは事務所に寝泊りさせてもらいました。
手動式ポンプが事務所の敷地内にあり、bathroomには大きなバケツに水がはってあり、
実はモンロビアのサビ臭い水より清潔そう。
サビ水は若干濁っていますが、ポンプの水は少なくても匂わないし澄んでます。
事務所には台所がなく、墨で火を熾して料理をしていました。
キャンプ場生活みたい!?
さて、3箇所の村を訪れましたが、中でもBesaoという原住民の住む伝統的な村がとても印象的でした。
Tubmunburgから車で飛ばすこと20分。更に凸凹山道を行くこと10分。Besaoというその村に辿り着きます。
リベリア人の大多数がキリスト教徒ですが、この村にはイスラム教徒が4割を占めています。
イスラム教徒もキリスト教徒も、同じ村民としてコミュニティの連帯感を持っているのが感じられました。
そのBesao村の長老。伝統文化を守っている村だけれど、頭カチカチの保守的なジーさんという訳ではなく、
リベラルな面もあり賢い人でした。
「確かに、NGOの支援のおかげでコミュニティの連帯が生まれたし協働することができるようになった。
でも、人権の問題については納得できない。我々が子供達に教育を受けさせないで働かせてばかりいると、
君たち西欧人は非難するけれど、単に西欧の考えを押し付けてるとしか思えない!
アフリカの子供たちは勉強だけじゃなく仕事をするし、私たちは子供たちをどう躾するくらいわかってる。」
長老の言っている人権とは、子供の権利条約のこと。
リベリアの子供は働きます。子供の数は多いし父親は農作業や出稼ぎにでかけるので、
兄弟の世話をしたり、水汲みをしたり、料理や洗濯の手伝いをするのは当たり前。
アフリカのコンテクストでは、「働かされている」のではなくて「役割分担」なんですね。
先進国みたいに、1家族当たり子供の数が1~2人であれば子供が家事を手伝う必要はないかもしれないけれど、
子供が3人とか4人とかいたら、お母さん1人で子供の世話と家事をこなすのは大変。
経済的にも生活を維持するのは厳しい。そういう現実は、先進国に住む私たちもよく理解しているはず。
だから子供の数が少なかったり、DINKS(Double Income No Kids)だったり。
(最近聞かないよね、この言葉。また年齢詐称と言われそうですが。)
Besao村にて。長老と。
(あっきー、気の小さい私はコミュニティの前でカメラを出せなかったよ。それでなくても日本人がアフリカの農村に現れて
イギリス人みたいな英語しゃべってるんだから、これ以上驚かせなくないなぁと思って。ちなみにコレは長老が記念写真を撮りたい
というのでカメラを出しました。)
ところで。
私は子供と遊ぶのが好きです。
幼い頃から、親の友人の子供の面倒見たりしていたからか、
子供と遊ぶのが楽しかったりします。
子供は学校行って勉強して友達と遊んで家族以外の大人(先生)と接して人間関係を築いてほしいと思う。
一方、頭でっかちになっちゃだめだと思うし、家族の一員としての意識も持ってほしいと思う。
だから、私は決してはたら子供を見ても哀れだとか、可哀相だとか思いません。
そして長老の言うことも理解できる。
だからといって、○○では子供の権利はXXXと解釈して、◇◇では女性の権利は***と解釈して…
という訳にはいかない。
Human Rights(人権)はuniversalな概念として理解されているけれど、
その運用・適用については、国のコンテクストを十分知っている必要があると思う。
話はだいぶずれてしまいましたが、そもそもリサーチの趣旨は、
紛争後、難民キャンプや避難先から戻ってきた住民や武装解除・動員解除をした元兵士が
どのように社会統合・社会復帰しているかというプロセス調査するもの。
特に私はそれをコミュニティの人間関係構築・修復(Social Capital)という観点から見ていきたいと思う。
それを概念化するのは難しいけれど、まずはコミュニティの話を沢山聞きに行きたいなと思っています。