教育芸術社の高校音楽教科書、「音楽1」、「音楽2」に掲載されている歌曲や鑑賞曲をyoutubeで捜して楽しんでいます。今回は「音楽1」の教科書に鑑賞曲として紹介されているオルフ作曲の「カルミナ ブラーナ」をお聴きください。

 

          

     音楽1                    ブラヌス写本 (カルミナ・ブラーナ)

 

 カルミナ・ブラーナとは1803年にドイツ南部の修道院で発見された1230年ごろに作成された詩集です。約300編の詩がラテン語、古イタリア語、中高ドイツ語、古フランス語などで書かれています。詩の内容は若者の怒りや恋愛の歌、酒や性、パロディなどの世俗的なものが多く、おそらくこの修道院を訪れた学生や修道僧たちによるものと考えられています。

 

 オルフはこの詩歌集から24篇を選び曲を付けました。初演は1937年です。「初春に」「酒場で」「愛の誘い」の3部から成り、その前後に序とエピローグがあります。この曲は舞台形式によるカンタータであり、『楽器群と魔術的な場面を伴って歌われる、独唱と合唱の為の世俗的歌曲』という副題が付いています。混声合唱、少年合唱、ソプラノ・テノール・バリトンのソリスト、大規模なオーケストラという大きな編成で、歌詞は主にラテン語で演奏されます。

 私はこの曲の名前すら知りませんでしたが、youtubeで検索し聴いてみて驚きました。現代音楽というと私には理解できないものだと思っていたのですが、理解できるような気がします。CDを求めてじっくり聞いてみようかと思っています。

 

  youtubeで検索して、指揮 小澤征爾指揮の演奏をみつけました。

 

  オーケストラ   ベルリンフィルハーモニー

  ソプラノ      キャサリン・バトル

  テノール      フランク。ロパルド

  バリトン      トーマス・アレン

  合唱        晋友会合唱団 …日本からドイツまで出かけました

  演奏年月日   1989年12月31日     

 

  全曲を聞くと1時間以上かかりますが、最初の「おお、運命の女神よ」だけでもお聞きください。2分30秒ぐらいです。大編成のオーケストラと大合唱団が織りなす素晴らしい響きが楽しめると良いのですが。

 

 

ff

O Fortuna,               おお、運命の女神よ
velut Luna statu variabilis,     月が満ち欠けするように

pp

semper crescis aut decrescis;  おまえはいつ強くなったり弱くなったりする
vita detestabilis           それでなくてもいやな人生を
nunc obdurat et tunc curat    今や苛酷なものとして
ludo mentis aciem;         わたしたちの心をもてあそぶのだ

egestatem, potestatem,      貧しさや権力すらも
dissolvit ut glaciem.        氷のように溶かしてしまう

 

Sors immanis et inanis,       運命は残酷だがはかないものだ
rota tu volubilis,           おまえは回転する車輪のように

                     一つの所にとどまることはない
status malus, vana salus      おまえの喜びもつかの間で   
semper dissolubilis;         いつ消えるかもしれないのだ
obumbrata et velata         影とベールに隠れて 
mihi quoque niteris;         おまえは再びわたしの所にやって来る
nunc per ludum dorsum nudum  おまえの悪意に満ちたいたずらのおかげで 
fero tui sceleris.          いまやわたしの背中には何も守るものもない      

f

Sors salutis et virtutis      幸運と徳が得られる機会は
mihi nunc contraria;        今やわたしにはない
est affectus et defectus     望もうと望むまいと
semper in angaria.         人はいつも運命の女神に仕えなくてはならない

ff
hac in hora sine mora       ためらうことなくこの時にこそ
cordae pulsum tangite!      弦をかきならせ
quod per sortem          運命の女神は英雄さえも殺すのだ
sternit fortem,          すべての人よ 
mecum omnes plangite!     わたしとともに嘆きかなしんでおくれ

                          (訳は「音楽1」に掲載されているもの)