前回は解説書に書いてある「登り方A」に関して説明しました。この登りかたは重い荷物を背負い駅の階段、すなわち急な坂を登るのに適しています。しかし、この登りかたは安全ですが、平坦な道、ゆっくりしたスロープを歩くのには歩きにくいと思います。
 今回は平坦な道、ゆっくりしたスロープを歩くのに適した「登り方B」を図14を用いて説明いたします。

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①前になる足を着地したところ。靴底全体で着地しますが踵側に重心があります。重心は常に前進していて停止しません。後ろの足は踵側が若干浮きますが意識はフラットにあげます。また後ろ側の足は瞬間的に前に戻りますが、「登り方A」のように大腿四頭筋を使わず、ハムストリングスの拮抗筋である腸腰筋(ちょうようきん)がスパッっと働き前に戻ります。
②前進しながら膝関節が伸びます。この時身体が前進する運動のエネルギーが身体を持ちあげますから、大腿四頭筋は楽になります。平地を走ってきた自転車が勢いで坂を登るのと同じ働きです。 
③この後は大腿骨の後ろ側の筋肉であるハムストリングスが大腿骨をワイパーのように後ろに振ります。そうすることによってカヌーのパドルで水を前から後ろにかくと、カヌーはスイーと進むように、大腿骨の上に乗った胴体も前に進みます。この時足裏にかかる体重は踵からつま先に移動します。
④①と左右の足が逆転しました。

 以上ですが、実はフラットフィッティングすること以外、実は街中で歩いている歩き方と同じです。この歩き方の特長は、ハムストリングスを主に働かす歩き方で、重心の移動が斜面に滑らかに移動します。また重心は停止しないので、動いては停まり、動いては停まりしている「登り方A」のような始動のエネルギーが不必要になります。
 平地や、ゆっくりしたスロープを「登り方A」で歩くのより20%ぐらい早く歩けると思います。但し、呼吸が苦しくなるほど早く歩くことができますので、体力に応じた速度で歩きます。

 人によって筋肉の状態がちがいますから、自分にあった登り方をすべきでしょう。私は急な登りでは「登り方A]、平地や、ゆっくりしたスロープでは「登り方B」で歩いています。トレーニングはAは階段、Bは傾斜で行っています。この場合使う筋肉を意識して歩いています。トレーニングが終わったあと明らかに疲労した筋肉を感じとることができます。

 次回は筋肉の働きについて考えてみます。