今日は仕事を休み、母の元へ。

母が元のリハビリ病院に戻るため、転院の手続きをしてきました。

 

大動脈解離を発症して1か月が過ぎ、再びリハビリへ。

発症したときは戻れるかどうかもわかりませんでしたが、戻ることになりました。

 

今こうやって冷静に書けますが、連絡があった時は大きく動揺していました。

いきなり「心停止している」と言われれば、誰だってそうなると思います。ただ自分も病院に駆けつけなければならず、ましてや車を運転して駆けつけるのでとにかく「落ち着け、落ち着け」と言い聞かせている状態でした。

 

病院に着いてもすぐに母親に会えるわけではなく、病状説明。

そこで母の命の選択を迫られたわけで・・・そこまでに時間があったとはいえ、とにかく助かってほしいという思いだけはありました。一方で「延命はしたくない」という母の意向も理解していたので、必死に自分の中で考えていました。

 

その結果緊急手術の選択をしたわけですが、実はすぐに手術・・・ではありませんでした。

最初に運ばれた病院では手術室を使用しており、すぐに緊急手術ができない状態。それを望むのであれば他に対応する病院を探して搬送する必要があったので、そこからさらに時間がかかりました。

 

もちろんそのことも理解したうえでの搬送でした。

リハビリ病院から連絡があった時はとにかく命を助けたい一心で「運んでください」とお願いした自分。正直搬送中に死ぬ可能性もあったのでそれも理解したうえでしたが、さらにそこからの搬送なので、その時も色々と覚悟をしていました。

 

幸いにも搬送中に命尽きることはありませんでしたが、発症から既に6時間。

すぐに緊急手術の準備がされましたが、手術リスクなども説明されていた時は正直自分の頭は何も考えられませんでした。手術の同意書も普通なら自分が書いていますが、この時は兄に任せて書いてもらうことに。その後も色々と説明がありましたが、気持ちはどこかにいってしまっていました。

 

手術は6時間以上となり、病院から出て帰宅したのは深夜3時。

正直自分の中では母の死も覚悟していました。覚悟していたとはいえ・・・うーん、なんていうのでしょうか、精魂尽き果てた感じも少しありました。手術の翌日から面会に行きましたが、まだ目覚めずの状態。管だらけの姿に涙してしまい、手術したことが本当に正しかったのか考えてしまいました。

 

ただ、その後母が大動脈解離であった記事を書いた日に、自分に電話が。

電話の相手は母親で、手術後初めて母親の肉声を聞くことに。そして「急性大動脈解離」の記事を書いた内容になったわけです。

 

でもそこからすんなりというわけではなく、自分もかなり精神的にやられました。

ICUから一般病棟に移った後からは毎日電話があり、母の弱音を聞く日々。それを聞くたびに手術したことは母にとって良かったのかを思い悩む日々でした。また別の日に主治医から病状確認をしたときに、主治医から「紹介元の病院からは手術適応ではなかった」という話も聞いていたため、余計に色々と考えてしまっていました。

 

そんな中で、自分の中で導き出したのは「救命はするが、延命はしない」ということ。

まぁ半ば自分を納得させるための口実なのかもしれませんが、命を救うことはしたとしても、その後の気管切開や胃瘻造設などの苦痛を伴う延命的措置はしない、と考えました。だから今回緊急手術をしたのは「救命」であって「延命」ではないと、自分を納得させるようにしました。

 

とはいえ、手術後も胸腔ドレーンを入れることもあり、やっぱり考える日々。

そんな中で迎えた、今日の転院。なんといえばいいのかわかりませんが、とりあえずは危機を脱したと考えてもよいのかもしれません。単純に急性期治療は終了しただけなんですけどね。

 

で、今日からは再びリハビリ。

ただ今回は「生活期リハビリ」とのことで、前回脳梗塞をした時の「回復期リハビリ」ではないとのこと。またリハビリのリスクも高まっているとのことで、前回よりも慎重に行っていくとのこと。まぁ心臓の手術をしたのだから、当然と言えば当然ですね。

 

この1か月、本当に色々と考えました。

母からは「延命はしないでほしい」と聞いていたので自分もその意思を尊重していました。しかし突然「死」が目前に現れると、本当に何もできないと感じました。徐々に死が近づくものであれば心の準備もできると思うのですが、その準備なく突然「死」が現れる現実は、本当に受け入れがたいものです。「延命しない」と考えていても「救える可能性がある」と考えてしまうと、気持ちは大きく揺らくことも実感しました。

 

もし「延命しない」との考えから手術しなければ、母は死んでいたと思います。

でも結局は自分がそれを受け入れられなかったことと、心停止をしながらも蘇生したことに微かな希望を信じて手術の選択をしたのだと思います。それが結果的には良い方向に行き、一応心臓の機能としては問題はないとの話。手術の成功はあくまで結果論ですが・・・うまくいったのも奇跡だったのかなとも感じています。

 

母が在宅復帰できるかは、これからのリハビリ次第。

子としては在宅復帰し、退院したら美味しいものを食べていろんなところに連れて行ってあげたいです。