テレビ番組鑑賞日記。
「茶畑の崩落」だとか「訓練」だとかいった、ニセ・ニュースでの時間稼ぎが多い日本のジャーナリズム、最近はしばらくおとなしかった橋下徹の発言のおかげで、ニュース素材に困らなくなったようだ。
それはともかく、NHKの「BS歴史館」を録画しており、2本立て続けに鑑賞した。
妖しい美熟女・渡辺真理(45歳)を司会とする教養トーク番組である。
■“シリーズあなたの常識大逆転!(2)「幕末・日本外交は弱腰にあらず」”
(ゲスト:加来耕三、榊原英資、磯田道史)
これはタイトルが奇妙で、面食らった。
が、ペリーの和親条約は「開国」ではないとの意見で一致し、「いつ開国か?」については明言がなく、むしろ、植民地化を防いだ交渉担当役人(林復斎・岩瀬忠震)を賞賛するうちに、なごやかに終わった。
どうも妙な構成だった。
声のデカい榊原英資にひっぱられ、ニッポンの官僚万歳というムードが立ちこめた回であったと思う。
ほかにも問題はある。
最新の番組かとおもいきや、ネットで調べるとNHKのサイトには制作日時の表記がない。
これがキモチワルい。
そこで個人ブログを検索し、一昨年、2011年放送の番組だとわかった。
今回(2013年5月14日)は再々放送だ。
そういう情報を、NHKは隠しているように思われる。
■“大名家の生き残り策(1)「突破700年 島津家 退くことを知らず」”
(ゲスト:原口泉、山本博文、榎木孝明)
これは島津家の歴史。
戦国時代から幕末にいたる島津家の独自性・しぶとさを描いたものだが、島津重豪(しげひで)、すなわち、婚姻戦略で将軍家に近づき、調所広郷を登用、債務をまんまと250年ローンにした豪腕の藩主に、焦点を当てたのが面白かった。
ただし、島津家の強さの秘密として本質的な「江戸からの遠さ」については言及がなく、キモチワルさは残った。
危機感が少ない島津家のイメージもあって、「生き残り策」と言うほどのものだったかどうかも微妙。
さて、この『BS歴史館』は、学者枠2人に芸能人枠が1人、という配置なのだが、どうも最近ゲストが固定化してきたようだ。
とりわけ幕末のテーマになると、加来耕三や童門冬ニがすぐに出てくるので参る。
権威というほどの人たちではなかろう……
取り扱う時代に、便利な専門家がいないのか?これでは物足りない。
学者枠には、磯田道史が呼ばれがちで(若手なので仕方ないが)相互の立場をハッキリさせない馴れ合い的な流れになりやすい。うるさい榊原英資が出た回など、磯田のやる気がいつもより欠けていた。
こういう番組は、邪馬台国のようなホットな話題なら3人3様、「激論」になるのだが、固定化したテーマ(幕末・戦国)ではダラダラしてしまう。
どうにかしてほしい。
ついでに言っておくと、ときどき異常に照明が黄色かったり、オレンジが強すぎたりするスタジオの雰囲気も渡辺真理のメイク・肌のコンディション次第なのだろう。
が、さすがに全員の顔色を真っ黄色に染めてしまうのは、ちょっとおかしい。
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■BS-TBS「ライバルたちの光芒・金地院崇伝VS南光坊天海」(5月14日)
これは高橋英樹が司会の歴史トーク番組。
2人の歴史作家を招いて、ライバルについてのプレゼンテーションを行わせてみせる形式は面白い。「形式」は面白いのだが、あんまり盛り上がらないのを特徴とする。
トークに慣れていない作家ばかりを招くせいもあるだろう。
今回は、禅坊主・金地院崇伝と密教僧・南光坊天海という黒幕的な人物を取り上げたのが興味深かった。しかし、家康の神号をめぐる対決を除いては、2人のエピソードが少なすぎて、かなりぬるかった。
仏教・禅宗・神道の絡み合うドロドロした宗教対決でもあったが、歴史作家・海道龍一朗(やたら恰幅があるのに、妙なメガネ)と童門冬ニ(憶測で語りすぎる傾向がある)では、深みのある解説も期待できず、テーマの掘り下げという点では、今回の物足りなさは半端なかったな。
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■NHK『ソウル白熱教室』
「キム・ナンド教授・第2回 人生でいちばん楽しいことは?」(2013年5月17日)
たまーに観る番組。
今回、久しぶりに見てみたが、まず、韓国の学生たちの見た目が興味深かった。
イメージよりも地味である(例外的に「私すごく勉強が出来るんです」という金髪の女性が一人だけ目立った)。
彼らも熾烈な競争社会にさらされているというイメージもあるのだが、全体的に、地味さがあった。社会に対する或る種のうんざり感があるのかもしれない。
そういう疲弊や挫折感をすくいとるためにキム・ナンド教授の存在意義があるのだとも言える。
(というより、そういう人たちが、キム教授の講義を聴きに来るのか?)
教授の主張は、要するに、「カネのために生きるな」、「自分の成長のために働こう」というもの。
ありきたりではある。しかし、教授自身も若い頃は出世志向が強かったことを回顧していた。村長・弁護士になるべく難しい試験を受け続けたが挫折し、結果的に学者として成功。
というわけで、質疑応答でも、敗北感や弱さを訴える学生たちに、「若いときの夢は叶わないが、それこそが最良の選択につながっていく」といった慰め的なことを繰り返していた。
結局、こういうこと(つまり「あせるな、失敗は成功のもと」)を言ってくれる人が、今の社会で、強く必要とされているということなのだろう。
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■「加藤浩次の本気対談!コージ魂!!」(BS日テレ)
2013年5月16日放送(アンコール放送)初回放送:2013年1月17日
ゲスト:棋士・渡辺明(28歳)
加藤浩次のインタビューは、ざっくばらんで面白い。方法論として成功している。
たとえばNHKだと、ゲストをどこか神格化しすぎてしまい、インタビュアーも退屈なサラリーマン的態度に終始し、台本どおりの情報量の乏しい対談に終わりがちだが、加藤には相手をいじろうとする姿勢があって、人柄をえぐりだすコツになっている。
逆に、情報量としてはNHK的なインタビューより少ないかもしれないが、それ以上の成果がある。
渡辺明との対談では、ほとんど将棋界の具体的情報も他の棋士の話も語られなかった。また、加藤もそれを引き出そうとはしなかった。
が、そのおかげで、渡辺がずっと横目で加藤浩次をさげずんだように見ている中学生的な態度がありありと観察できるという面白さがあった。
加藤浩次は、渡辺明に「天才」を自称させようとゴリ押しし、最後には、「マジで、7冠めざします」と宣言させるという無茶ぶり。そういうやりとりの中に、型どおりの対談とは異なる生き生きしたものがある。
再放送ということで、残念ながら、最近きわめてデリケートなテーマ、コンピューター将棋の脅威(人間同士よりもコンピュータ同士の対局のほうが面白くなりかねない)については語られなかったが、次回はそういう話を、加藤がズケズケと突っ込んで欲しい。
……というわけで、じっくり番組表をながめては見たい番組を探すのだが、ついついBSばかり観る。
TV東京の『開運!なんでも鑑定団』なんかは別として、地デジのバカバカしさに耐えられなくなっているのだ。