右翼になってしまいそうだ! | どーゆーこっちゃ…!! 私は絶対にだまされないゾ

右翼になってしまいそうだ!

エマニュエル・レヴィナスという
フランスのユダヤ人哲学者がいます。


彼は、
現象学の方法を用いて、
独自の倫理哲学を体系化しました。


そんな彼の膨大な著作群に、
以下のような記述が登場します。



「絶対的に他なるものは、
 関係を結びつつも他なるものでありつづけ、
 ‘私のもの’と化すことがない」
              (多元論と超越)


「<私>であるとは、
 まずは
 <同>のエゴイスティックな自発性である
 ということである。
 私はその自発性において、
 世界とかかわり、
 世界内の存在者に意味をあたえ、
 存在者を対象として了解する。
 つまり存在者を包括する。
 世界という<他>は
 かくて<同>化されることになる」
               (全体性と無限)



え?
アナベルよ…、
 また悪い病気が始まったのか?」

って…?


申し訳ありません。


これから取り上げるテーマを
でき得る限り理性的にまとめるために、
どうしても哲学的な導入が必要なのです。


レヴィナスによる

これらのエクリチュールを冒頭で紹介することで、
私が明らかにしたいと思っていることは次のようなことです。


‘絶対的な他者’というのは、
自分の中で完全に構成することはできません。


他者はあくまで、
‘対象’として了解するしかないのです。


何故なら、

私とは別な次元で完全に独立したものを、
私の中に同化することは不可能だし、

他者が他者であるのは、
他者の他性それ自体がすでに外的なものだからです。


‘私’が構成する世界の内部に属していないから、
他者は他者というのだし、
世界(‘私’)の外部から到来してきた他者は、
‘私’が了解することによって初めて
世界のうちに存在を得るのです。


別の言葉を引いておきましょう。


 「他者を私が構成するのではない。
  逆である。
  到来する他者、
  私の世界の外部から到来する他者のみが、
  私の単独性を指定し、
  私を「この」私として、
  唯一の私として構成する。

  そうであるならば、
  そのような他者との関係にあってだけ、
  つまり<倫理>的な関係においてのみ、
  私は<私>でありうる、
  と考えることが可能であることになる」
        熊野純彦『レヴィナス入門』


ここで熊野純彦氏が言っているのは、
自己同定は他者の到来によりなされる
ということ、
つまりそれは、
他者による自我の目覚め」を経ることで、
初めて自己が自己として立ち上がり

同定されるということです。


例えば、
生まれながらにして右翼的な自己は存在しません。


外部から到来する他者の圧力によって、
自己は右翼的思考に目覚めさせられるのです。


それは、
ジャン・ポール・サルトルの契約上の妻、
シモーヌ・ド・ボーヴォワールの言葉、
人は女に生まれるのではない。
 人は女になるのだ

と同系の構造のうちにあるといっていいでしょう。


これらの哲学的なプロットを確認した上で、
7月30日に米下院の本会議で可決された
従軍慰安婦問題について
 日本政府が歴史的責任を認め、
 公式に謝罪するよう求める決議

に関する事実関係を客観的に考察してみましょう。


私が何故レヴィナスの哲学から

この問題に切り込もうとしたのかといえば、

右翼的な思考から入ってしまうと、
どうしても感情的になってしまうので、
私は哲学的なエクリチュールから導入することで、
あくまでも理性の範疇で
考察対象を把持したいと考えたからです。


かの社会学者 宮台真司氏も、
人間の思考運動を、
感情のゲーム」と「契約のゲーム
という言葉遣いで、

2つのバリエーションにカテゴライズしました。


「契約のゲーム」とはつまり、
経典の民に多く見られる
感情を超えた「理性的エートス」の言い換えなのですが、
これで分かりにくければ、
「理性のゲーム」と捉えていただければ結構です。


例えば、
以前私がこのブログで提言した

宇宙的思考

http://ameblo.jp/msz006zdragon/theme-10003597006.html

に対して、
こんなコメントを書き込んできた
右翼系のブロガーがいました。


 「そんなことを言う人間がいるから
  日本が弱体化するんだ。
  俺たちが銃を持って戦う時には、
  せめて邪魔にならないようにしてくれよ


こういう思考運動は、

明らかに右翼的な「感情のゲーム」に属します。


国家に命を捧げるパトリオットも、
外敵に銃口を向けようとするアーミースピリッツも、
いずれも「理性のゲーム」の中で
芽生えてくるものではありません。


すべては「感情のゲーム」の中で起こることです。


ここまでの前提を確認した上で、
マイク・ホンダ詐欺議員が提出した
従軍慰安婦問題について
 日本政府が歴史的責任を認め、
 公式に謝罪するよう求める決議

のコンテクストを探ってみましょう。


この決議案は法的拘束力はないものの、
訪米の際に米議会幹部に直接説明し、
アメリカの方々に理解していただいた
ものと決め込んでいる安倍首相にとっては
間違いなく更なる痛手となるはずです。


決議の内容を見ると、
旧日本軍が若い女性に
 性的な奴隷状態を強制した歴史的な責任
」を
日本政府が
明確な形で公式に」認め、
日本の首相が
謝罪声明を出すよう求める
となっています。


これを受けて日本政府は、
これまでも謝罪してきており、
 決議案は事実と異なる
」と訴えました。


そこで問題になってくるのが、
軍当局の関与と「強制性」を認めた
93年の「河野官房長官談話」です。


安倍総理はこの河野談話に、
強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実である。
 定義が変わったことを前提に考えなければならない

と反発してきました。


自民党内には、
河野談話を見直す動きがあり、
従来の日本政府の謝罪に留保をつけたことが、
どうやらアメリカのチャイナ・ロビイストに、
過去の歴史認識を修正しようとする発言
と受け取られてしまったようです。


それに、
日本の国会議員らがアメリカのワシントン・ポスト紙に、
決議案は現実の意図的な歪曲だ
とする意見広告を出したことも火に油を注ぎました。


とはいうものの、
ホンダ詐欺議員はあくまで、
この決議は日本の人々を責めているのではない。
 日本政府の過去に対する姿勢の問題だ。
 安倍首相が
 私たちの言葉に耳を傾けることを期待している

としています。


また、
日米関係への悪影響を懸念して、
31日の下院外交委員会では、
日米同盟の重要性を評価する決議案
も採決されました。


しかし、
あらゆるコンテクストを無視して、
今この時期に、
このような理不尽極まりない
ジャパン・パッシングのための決議案
が可決される背景には、
明らかに今、
日米関係に
好ましくない変化が起こっていることの証左だ

と見るのが妥当なのかもしれません。


要は、
戦費調達のために
これまでさんざん日本人の富をしゃぶりつくしてきましたが、
そろそろ底を付きそうなので、
用済み奴隷として破棄されようとしているのです。


次のタカリ先として、
中国とインドが急成長してきていますからね。


また、
ブッシュ政権に入閣して以来、
何の実績も残せなかったライス国務長官は、
サウジアラビアに協力させて、
イラクの治安を制御することに執念を燃やしています。


日本は世界で
孤立化しようとしているわけではありません。


正確にいえば、
アメリカから‘最早用済み’として
切り捨てられようとしているのです。


こういったコンテクストの中に投げ出されてしまうと、
右翼的思想に何の興味も抱いていなかった人間でも、
思いも寄らぬうちに、

右翼的反動に身を寄せてしまいそうになります。


あの凶暴極まりないアングロ・サクソンに
60年前の歴史を歪曲して攻め立てられたりすると、
「感情のゲーム」の遡上においても、
「理性のゲーム」の遡上においても、
真っ向から否定せざるを得なくなるからです。


そして我々は、
アングロ・サクソンの策謀によって、
いつの間にか、

反中感情に血を滾らせる右翼的な日本人

へと仕向けられることになるのでしょう。


右翼になるのではありません。


右翼的な立場に追い込まれてしまうのです。


しかもこれは、
「感情のゲーム」における
単純な精神論なのでは決してありません。


あくまでも「理性のゲーム」のルールに則り、
過去の真実の歴史を正しく掘り起こすだけで、

自然と反中・反半島感情が芽生えるように

仕組まれているのです。


例えば、
日韓基本条約
 (日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約)」
の存在。


この条約は、
1965年(昭和40年)6月22日に
日本と大韓民国との間で結ばれた条約で、
対日戦勝国として戦争賠償金を求める韓国に対して
日本は韓国と交戦状態にはなかったため、
韓国に対して

国家賠償をする立場にないことを確認するものでした。


本条約締結によって、
韓国は対日請求権の一切を放棄したことになり、
日韓間の請求権に関する問題が
完全かつ最終的に解決したことになったのです。


2005年1月17日に韓国で公開された
「韓国側の基本条約及び付随協約の議事録」にも、
日本と韓国間の個人賠償請求について
完全かつ最終的に解決した
との一文が、
はっきりと明記されていたことが判明しました。


つまり、
韓国人の従軍慰安婦が経済的補償を求めるなら、
日本政府にではなく、
韓国政府を相手取って行わなければならないのです。


要はこういうことですよ。


 日本が償わなければならない
 「従軍慰安婦問題」
 というものはこの世に存在しない。


しかも日本は、
この条約を締結したにもかかわらず、
1965年に
「財産及び請求権に関する問題の解決
 並びに
 経済協力に関する
 日本国と大韓民国との間の協定」
によって
韓国に次のような供与及び貸付けを行いました。


無償で3億ドル
円有償で2億ドル、 
民間借款で3億ドル以上、
当時の韓国の国家予算が3.5億ドル程度だったので、
この経済協力の規模がどれだけ巨大なものであるかが
お分かりいただけるでしょう。


つまり、
今の韓国の発展は、
日本の援助によって実現できたわけです。


何度も言いますが、
これは歴史の事実であり、
「理性のゲーム」の中での論証です。


決して「感情のゲーム」で捏造した
歴史の改ざんなどではありません。


韓国人たちはそういった歴史の真実を
決して認めようとはしませんが、
そういう態度の方こそ、
「感情のゲーム」というのです。


ついでにいっておきますと、
金将軍様の独裁専制国家たる北朝鮮政府も
日本はまだ北朝鮮に対して、
 戦後賠償や謝罪をしていない

と述べ、
日本人拉致問題の解決よりも、
 北朝鮮に対する戦後賠償と謝罪が何より先決

だと主張しています。


ただしこれは、
「理性のゲーム」でも
「感情のゲーム」でもありません。


非合法組織による単なる「歴史の悪用」です。


そもそも、
日韓交渉当時、
北朝鮮という国そのものが
存在していませんでした。


国連も、
「韓国政府が朝鮮にある唯一の合法的な政府である」
としていて、
元ソ連軍政府管轄区域であった朝鮮北部を、
「非合法組織(金王朝)によって支配されている状態」
と認知しています。


さて、
マイク・ホンダ詐欺議員の
従軍慰安婦問題について
 日本政府が歴史的責任を認め、
 公式に謝罪するよう求める決議

に話を戻しましょう。


マイク・ホンダは、
チャイナ・ロビイストの工作と
売春を糾弾するキリスト教右派の後押しで
本決議案を議会に提出しました。


如何なる状況下にあろうと、
 売春行為は決して許されることではない

というのが、
彼の思想を象るファンダメンタルです。


ほう~、なるほど、そうですか…。


両性の合意の上に行われない不純な性交渉は、
如何なる条件下でも
絶対に許されることではないというわけですね?


ならお聞きします。


太平洋戦争敗戦後、
日本に進駐してきたGHQが占領した間に、
米兵による
日本人女性の強姦事件は7万件を超えました。


しかも、
これは占領下で情報が統制されていた中で
算出された件数なので、
実際はその10倍以上の数の女性が
被害に遭ったはずだとも言われています。


あまりの惨状に堪りかねた日本政府は、
米兵の婦女暴行を防ぐ手立てとして、
昭和20年8月18日、
「外国軍駐屯地における慰安所施設の設置
 に関する内務省警保局長通牒」を発して、
米兵相手の慰安所施設を各地に設置しました。


それに、
厚木基地に降りた米軍先遣隊の最初の任務が、
米兵専用の「慰安所施設」の設置だったのです。


それらの慰安施設に、
日本人女性約8万人が集められ、
米兵に対する性的使役に供せられました。


「強姦」と「売買春」の
どちらが罪の度合いが大きいかは別にして、
この何十万人もいたとされる強姦事件の被害者や
8万人に及ぶ日本人慰安婦に対しては、
アメリカはどう補償してくれるというのでしょうか?


しかも、
このような米兵による買春行為は、
当時の日本に限った話ではありません。


現在、
韓国における売春婦の総計は
33万人と言われています。


在韓米軍の兵士たちは夜毎歓楽街に通いつめ、
この韓国人女性たちの性を購入しています。


これも、
立派な「従軍慰安婦」なのではないのですか…?


  さて、
  マイク・ホンダよ…、
  そして、
  アングロ・サクソンの低脳議員どもよ、
  ここまでの事実関係を確認したうえで、
  それでもまだ
  「従軍慰安婦問題」で
  日本の責任を追及すべきだと言い張るのか?


  いつの時代も、
  「性の奴隷問題」は歴史的な悲劇である。


  そこだけ切り取ってどうかと問われれば、
  「それは悪いことだ」
  と答えざるを得ないのは確かだ。


  でも、
  歴史的な事実を考えるときには、
  常に
  その背後に隠れている
  「関係性」や「置かれた状況」、
  「与えられた条件」といった
  コンテクストを俯瞰しなければ、
  正しい客観性を得ることはできない。

 

 歴史は「コンテクスト」である…。

 

 これは、
  ミシェル・フーコーが教えた英知なのだ。

 

 マイク・ホンダよ、
  一つの観点(イデオロギー)に染まるのは個人の勝手だが、
  国際舞台の場にしゃしゃり出てきて、
  したり顔で歴史の客観性を歪曲させないでもらいたい!


皆さん…、
「理性のゲーム」に則って
歴史のコンテクストをどのような角度から検証しようとも、
今この地上に「日本軍による従軍慰安婦問題」
という政治問題は存在しません。


いえ、
原理的に存在し得ないのです。


すべては、
「感情のゲーム」が捏造した恣意的な物語、
つまり、
フィクションに過ぎません。



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