元導師の世界で ~異世界編 | PSO2キャラ紹介&物語

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そしてその物語
※携帯で投稿する場合もあり、その時は短くなるかもしれません

レリアに斬りかかる正。

冷静さを欠いており、分史世界の正といえど、冷静さがない剣はいともたやすく止められてしまう。

 

「鬱陶しい小娘だ!私には及ばない!」

「ちっ!」

 

一旦距離を取る。

しかしすぐに相手は次の手を打ってくる。

 

「消えろ!」

「しまっ…!」

「させないよ!」

 

すとーぶがラビュリスでレリアの攻撃を断ち切る。

その隙にマルが斬りかかっていく。

 

「いくぞ!」

「邪魔だぁっ!」

 

レリアはマルの剣もたやすく受け止める。

が、ただでは受け止められない。

 

「無駄だぜ」

「何を…!」

 

レリアが気付いた時には既に遅い。

彼女の背後にはガードルがいた。

 

「力及ばねぇのはお前だったな」

「仲間毎撃つ気か!だから人間は!!」

「馬鹿が」

 

銃声と共に撃ち抜かれる。

それは彼女にとりついた因子のみ。

マルにはかすりもしない。

 

「仲間を撃つ程雑じゃねぇよ」

「わた…しは…」

「…!すとーぶさん!」

 

レリアが手を前方に出し、すとーぶと正を狙う。

彼女の指先から放たれたのは閃光。

それは相手を射抜くような一撃。

 

「無駄だよ」

 

ラビュリスの力を持って、それは遮断される。

 

「…これで、この世界は終わり」

「お前…何を言っている?」

「君ともお別れだよ、正」

 

導師の世界は、因子の破壊と共に消え去っていく。

 

 

数刻後、4人の身を案じていたきゃっこ達に迎えられ、彼女達は戻ってきた。

ただ一つ、イレギュラーを抱えて。

 

「…これはどういう事?」

 

きゃっことモーガン、すとーぶとガードルと、その後ろにマル。

そしてガードルの隣には、分史世界の正の姿があった。

 

「分史世界は消えた、因子も破壊した。 なのになんで彼女が…?」

 

きゃっこが不思議めいた表情をしている。

現状に対し理解が追いついていないのだろう。

そこにガードルが伏せていた右目を開いて言う。

 

「すとーぶがラビュリスの力を使った、こいつの目の前でな」

「ラビュリスの…はぁ、全く…」

 

モーガンが大きくため息をつく。

 

「お前は理解できたみたいだな、きゃっこはどうだ」

「…いまいち」

「だったら簡単に説明するか」

 

ガードルが組んでいた足を広げる。

 

「すとーぶが使ったラビュリスの力は空間を一時的に断つ力。その力が働いている時に因子が破壊され、分史世界は破壊された。が、空間が断たれてる部分は正史世界に運ばれたわけだ。そこに落ちてた石ころと同じようにな…、だからこいつもこっちに来たわけだ」

「またあんたのせいか」

「ごめんて」

 

険しい表情ですとーぶをにらみつけるきゃっこ。

 

「じゃあもう一つわからない事があるの」

 

きゃっこが別の話を切り出す。

 

「私達の正はどこにいったの?」

 

一瞬、沈黙が続いた。

 

「あの世界に…取り残されたとか…」

「それはねぇな、あの分史世界は俺達が転移させられた世界だ。最初侵入した世界は別の世界のはずだぜ」

「あぁ、現に座標が全く違ったからな」

 

マルの予想は簡単に外れた。

ならば残された可能性を探るのみ。

 

「可能性は3つ。転移前の分史世界に残っているか、また別の分史世界にいるか…」

 

最後の一つは一呼吸置いてからの発言となった。

 

「死んだか、だ」

「……」

 

一同は沈黙した。

十分あり得る可能性で、一番高い可能性だからだ。

 

「転移前の世界に残っている可能性はないと思うよ」

 

すとーぶが一つの可能性を否定した。

 

「あの世界での因子はマル。そのマルはガードルが撃ち抜いて因子を破壊した…あの世界はもう存在しない」

「じゃあ…!」

 

マルが食い気味に言い寄る。

 

「可能性が3つある事は否定しないよ、別の分史世界にいるか死んだか…私達の知らない全く別の空間にいるか」

「根拠はなんだ」

 

全く別の空間と言ったすとーぶに食いつくガードル。

 

「分史世界の反応が探知されていない事、既に存在していて探知できていない可能性は否定できないけどね」

「それはしかたないでしょ」

 

きゃっこが少ししょぼくれる。

 

「ガードルの言う根拠といった根拠はないけど…これ」

 

ラビュリスを取り出すすとーぶ。

 

「…所有者は正のままなのか」

「そう、正がここにいなくてもラビュリスは機能停止していない。模倣品のこれらは所有者が契約解除、または死ぬと機能が停止する」

「なるほど、生きてるって言いてぇのか」

「生きてるよ、あの時と一緒でね」

「そうか」

 

一同の沈黙。

それを破ったのは分史世界の正だった。

 

「難しい事はよくわからないが、要はここは私の知る世界ではないのだな」

「う、うん違うよ」

 

モーガンが話しかける。

 

「お前の世界と同じ物があるだろうし、同じ人がいるだろうが、全くの別人だ。現にこの世界にも正はいるが、お前と風格が全然違うしな」

「それは会ってみたいな、興味がある」

「何をされるかわかったものじゃないが」

「会ってからのお楽しみというやつだろう、構わないよ」

 

正が立ち上がる。

 

「この世界を見てみたい。私が築き上げた世界とどう違うのか、この世界の私は何をしてきたのかを知りたい」

「…好きにしろ、お前がどう思うか、どう感じるかは俺達は一切責任は負わないがな」

「あぁ、構わないとも。ガードル、案内を頼めないか」

「…仕方ねぇな、マル、執務はお前とティアマトにしばらく任せる。用が終わればすぐ戻るからそれまで頼む」

「わかった、それじゃ俺はこれで」

 

マルは先に退室した。

全員、今の現状を理解し、落ち着きを見せている。

正に執着が強いマルとガードルもまた、何が成長したのか事を解決する術を探りながら、現状を見極めている。

 

自分以外の誰かが築き上げたこの世界は、彼女の目にはどう映るのか。

 

 

元導師の世界で ~知らぬ正史