MSXと新型インフルエンザ | MSX研究所日記

MSXと新型インフルエンザ

新型インフルエンザの話題が多く飛び交っていますが、まだヨソの国の話ということで今のところ平静を保っています。

日本もかつてスペイン風邪に襲われながらも、その記憶が極めて薄いようです。まあそれも仕方のない話で、当時の最後の流行ですら1919年、すなわち90年も経過していることが第一にあります。それでも、わずか4年後の関東大震災(1923年)の惨禍に比べた時に、39万人も亡くなっているにも関わらずマイナー感のぬぐえない出来事になってしまっています。このことを考えた時に、どうやらあまり有名な人が亡くならなかったというのが背景にはあるような気がしてなりません。

Wikipediaの当該項目を読んでみても、比較的有名な人は辰野金吾島村抱月くらいでしょうか。今回は強引に前者にスポットを当ててみましょう。

さて、辰野金吾と聞いて「ああ、あの人ね」と思い当たる人はそれほどはいないでしょう。もしピンと来たら、貴方は建築に興味がありませんか?この方は東京駅の設計をしたことで名高い、建築史の偉人です。

じゃあなんでこの人がMSXに関係あるんだよ、とお思いの方も多いでしょう。実は辰野金吾をモデルにした人物の登場するMSXのゲームがあるのですね。

それは「琥珀色の遺言」(リバーヒルソフト・1988年発売)です。

タイトル画面(MSX2版)。

「藤堂龍之介 探偵日記」とあるように、本作は探偵物のアドベンチャーゲームです。ちなみに辰野金吾がモデルの人はズバリこの人。
執事の辰野銀蔵さん(MSX2版)。

ちなみにこっちが辰野金吾(本物)。額の後退具合、眼鏡&眼光、ヒゲあたりが似てます。
※国立国会図書館の「近代日本人の肖像」より転載。

名字はまんまだし、「金吾」に対して「銀蔵」という名前がシブいですね。
ゲーム中では殺人事件の真相を知るべく、龍之介に依頼してきた人ということになっています。

ちなみに名作と名高い1920シリーズの「琥珀色の遺言」は最近でもニンテンドーDS版が出ていたりします。

MSX版と比べるとアオリ視点のDS版・銀蔵さん(右)。金吾さん(左)と並べるとなんか違う感じ。

ちなみにゲームの方は1921年の9月の設定なので、金吾さんのほうはもう亡くなられています。もちろん金吾さんが実は死んだフリをして執事として身を隠していたとかいう超展開ではありませんので、ご安心を…。

というわけで、新型インフルエンザの話題が出たら「東京駅の設計した人も亡くなったんだってね」と、軽いウンチクを垂れる程度の役には立つでしょう。銀蔵さんのほうは濃いめのマニアの集いででも…。