小学校6年間を不登校で通したアスペ娘が、去年の5月から中学校へ行くようになり、ようやく1学年が終わりました。娘の中学は全国でも珍しい夜間中学の昼間部というところで、1学年数人の少人数制です。不登校児だけを対象としている学校なので、「普通の中学に在籍するよりは付き合うのが楽だろう」、「週に1、2回でも行くところがあれば御の字」、「美術と英語だけでも参加すれば拾い物」、それくらいのつもりで居場所をもとめて入学しました。それがそれが、ふたを開けてみれば180日余りの登校日のうち150日以上の出席という、想定外の登校日数となりました。

 

娘はものすごく頑張ったのですが、実を言うとなんのために頑張ったのかは母親の私にもわかりません。負担の激しかった入学当初こそ、「とりあえずひととおり出てみて、気にいる授業を選んでおいで」とは言いましたが、別に学校へ行った方がいいとは言っていませんし、学校は行かなければならないところだとも言っていません。逆に、常に「しんどかったら休めばいいやん」というスタンスできました。娘にとって学校のなにが魅力的だったのかというと、やっぱり人だったのではないかと思います。先生や支援員さんと映画や音楽について喋れるというのが、多動で饒舌な娘には楽しかったのでしょう。はじめは目新しさで近づいたものの、秋ごろには共通の話題もないし退屈だといっていたお友達についても、だんだん理解が進んでくるにつれ相手の特性や反応を楽しめるようになったようで、今ではお友達とLINEをしたり、休日に遊んだりもします。

 

本当にありがたいことだと思います。

 

娘の特性上、彼女の情緒を安定させておくためには、一人でいる時間と誰かと喋る時間の両方が、とてもたくさん必要です。不登校だったころには、一対一で娘の相手になって話を聴いてくださる方を確保するために、たくさんの療育や習い事をしていました。今も療育や習い事は継続しているのですが、それは絵画やピアノの技術を学ぶためというよりは、娘と安定した人間関係が構築されている他人とのつながりが、娘の安心感を支えていると思っているからです。

 

この1年間で、娘は新しい人間関係をたくさん結びました。まだまだ新しくて不安定で、学校という場所の性質上、卒業や退職、転任などの別れがあったりもしますが、そういう体験の一つ一つが彼女の成長に繋がっていると思います。とはいえ、この3月にはながらくお世話になった2人の療育の先生とのお別れも重なり、さすがに喪失感も激しいと想定されたので、甲斐性者の私の母が娘を連れて、終業式の直後から8日間のイタリア旅行を断行しました(笑)。思いっきり現実から離れて気持ちを切り替える作戦です。パッケージツアーに参加して団体行動したわけですが、そこでも素敵な出会いがあったようで、帰宅してからも西洋史学専攻だという院生のお姉さんとLINEをしたりしています。いつかフィレンツェに住みたいという夢もできました。新しい学年に向かって、英語を勉強するというモチベーションも上げています。

 

さてさて、読めない、書けない、集団が苦手という難しい娘を、受け入れようとご尽力くださった学校の先生方には本当に感謝します。学校を療育機関のように利用できるなんて、考えてもみませんでした。彼女が学校を一つの居場所に出来たことは、全くもって望外の幸せです。これで安心、このまま何もかもうまく行くと思っているわけではありませんが、思春期の娘が今この時期を楽しく過ごしいることを心から喜びたいと思います。願わくば緊張感をさらに減らして、中学生活をのんびり過ごしてほしいと思います。