今夜は友人というのも恐れ多い、
私の少女時代を支えてくださった作曲家の先生を交えてのディナー。

今では先生だけど、
出会ったころの先生は17歳の少年で、私は13歳の少女だった。
自殺未遂を繰り返して文字通り泣き叫んでいた私を、
たった17歳の少年が、何年間も精神的に支え続けてくれた。
それは私だけじゃなく、家族全員が一生御恩に感じていること。

その先生に、娘は笑顔一つなく生意気な質問を繰り返す。
私はずっとドキドキしっぱなし。
娘は、私の子どもの頃の様子が知りたかったらしい。

先生の語る私は、思いのほか娘によく似ていた。
でも、娘よりうんと不幸だったみたい。

思い余って、「私はもっと愛想よかったですよね?」というと、
「いや」だって。
「こんなに辛辣じゃなかったですよね」というと、
「敬語かどうかの違いだけかな」と。
ちなみに、娘は先生には標準語の敬語で話す。
私って、娘みたいに辛辣だったんだろうか?

先生が娘に答えてくれる。

あなたのほうが正直かな、
あなたのお母さんはね、
苦しいことや辛いことがあると、
しゃべれなくなる人だったんだよ。
それがどんどんたまって、
夜中に泣いたり叫んだりしてたんだ。
話せる相手が見つかるまで、
時間がかかったんだね。

そう、私が初めて見つけた話せる相手が先生だった。

ご本人は思い出したくないかもしれないけど、
なんでも否定してしまう、
なにもかも拒否する人だったかな。
そういう時期があったってことだね。

そう、私が否定する世界のすべてを、
先生はひとつひとつ、私に繋ぎとめてくれた。

娘と真剣に話して下さる先生は、
かつて私の相手をしてくれていた少年そのものだった。

見たことない、会ったことないタイプの人だったね。
というのが、先生の娘への答え。

別れ際の私への一言

あなたの子だね、真っすぐ真剣に向かって来るね。

受け止めてくださって、本当にありがとうございました。