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まさごんです。

粒子線治療とは、陽子や重粒子(主に炭素イオン)を体内に打ち込んで、その衝撃でがんの野郎をぶっ殺す治療法です。

打ち込むエネルギーを調整することで体表面からの深さ方向のダメージ分布を制御でき、がんがある深さにピンポイントにダメージを与えることが可能。正常部へのダメージが小さいので放射線治療より副作用が起こりにくい。重たいイオンをドカンとぶつけるので威力も抜群。この分野では日本が世界のトップを走っています。

以前、私は技術者であると書きました。その昔日本が世界を席巻した(今も頑張ってる企業はいくつもあります)半導体製造の分野には、イオン注入という技術があります。ざっくり言うと、半導体にさまざまなイオンを打ち込んで、欲しい半導体特性を得るというもの。

打ち込むイオンには陽子や炭素イオンもあります。これってまさに粒子線治療と同じです。半導体では表面のせいぜい数ミクロンにしか打ち込まないのに対して、がん治療では体内深くまで打ち込むので、イオンの加速電圧が全然違いますが。

粒子線治療ではイオンをドンドン加速させるために、ながーい助走が必要。重くて大きい炭素イオンを打ち込もうとすると尚更です。直線では距離が足らないので大きな円形のトラックをグルグル回ることになります。なので重粒子線治療設備は大きく、高価になります。

放医研が日本初の重粒子線治療施設を作ったのが1984~1993年の期間。日本の半導体産業が一番力を持っていた時期とピッタリ重なります。ビームの制御技術などは、イオン注入の分野から転用されたものもあるのではないかなーと想像します。

放射線治療や陽子線治療に対する優位性はあると思うので、重粒子線治療が広く使われるようになって欲しいと思います。今や海外勢に押されっぱなしとなった半導体製造技術も、多少は浮かばれるでしょう。

私もリンパ節転移に使えるなら使いたいです。今は広範に転移があるので多分適応外ですが、どうにかして、なんとかして、ね。

それにしても、まさか自分の体へのイオン注入を検討する日が来るとは。愛着がある技術なので、なにやら縁を感じます。こいつなら何とかしてくれるんじゃないか、と根拠なく思ったりして。

半導体の世界では頼れる奴。がん治療でも頼りにしてるよ。