まさごんです。
髪が抜け始めたので、床屋について。

私はこの15年間、欠かさず月に一回、同じ床屋のお世話になってきました。我が家が途中で近距離転居したので、今は自宅から少し離れたところにありますが、チャリンコ飛ばして通い続けています。ハーレー好きのちょいワル系オヤジさんが、一人でやってる人気店です。

ハサミの切れ味がいつ行っても抜群で、切られるときの「サクサクサクサク!」という音と感触に職人魂を感じるところが、特に気に入っています。髪がハサミに引っかかって痛いなんてことはこれまでただの一度もありません。切られたあとは髪が軽くなって、爽快な開放感が得られます。

子供ができてからは、子供たちも連れて通っています。うちの二人の息子は三歳の頃から床屋デビューです。私は子供にも自分のような短髪にしてほしいのですか、それを鋭く察して毎回床屋まで付き添ってくる妻の意向に逆らえず。妻からにこやかに発せられる鶴の一声で、妻好みの坊ちゃんカットが2つ並ぶことになります。手強い鶴です。

今年の7月から8月にかけて大腸がんの手術と膵炎で長期入院したので、初めて二ヶ月床屋に行けない時期がありました。

退院後に久々に予約を入れて家族で床屋に行くと、「しばらく来てないなと思ってたんですよ。...お痩せになりましたね」との鋭い観察眼。時期としては抗がん剤治療開始直前の頃です。ちなみに一組ずつの完全予約制なので、他のお客さんはいません。

私は主治医から、抗がん剤治療を開始すると髪はすぐ抜けてくるよと言われていました(実際に2コース7日目現在、頭髪の脱毛がどんどん増えてきました)。

次に床屋にくる頃(一ヶ月後、2コース14日目頃)には脱毛始まってるよなと思ったので「入院してたんです。実は髪が抜ける系の薬をやることになって、、、まぁ、癌なんですよね」と思い切って伝えちゃいました。

オヤジさん少しびっくりしてましたが「自分も昔から入院多いんですよー」「癌もいい治療法がいっぱい出てるらしいじゃないですか、ねー?」なんて、一生懸命励ましてくれます。励ましながら、いつものように気持ちよくカットしてくれました。

はっきり言って顔は怖い(ゴメンナサイ)のですが、心持ちはとても優しい人です。今回は少し困らせてしまったかな。子供たちも懐いています。勿論これも、この店を気に入っているポイントです。

お店に家族でお邪魔して、順番に散髪してもらう(妻以外ですよ)。散髪が終わったら、みんなサッパリしてにこにこ顔です。そして帰り道にある美味しいたこ焼き屋に寄り道して、いろんな味のたこ焼きを買って帰っておやつで食べる。子供たちも楽しみにしているいつものパターンなんです。

思い返してみると、月に一度の案外大事な時間だったんだなと気づきました。

残された時間を大切に生きるためには、幾つかのやり方がありそう。今までできなかったことをやる、というのもあり。これまでお気に入りだった部分を維持する、あるいはこれまで以上に大事にするという道もありでしょう。

私にとって「家族で床屋」は、実は大切な時間だったようです。親父さんが切るのにも困ってしまう髪の量になっても、妻と二人、息子たちの付き添いで行けるかなと思っています。

長年通ったあのお店。これからは息子たちが客で私はオマケ。それも悪くない気がしています。