ズームフライを使いこなすにはある種の「不自由さ」が付きまとう。
それは3時間前後、断続的にカーボンプレートからなるスイートスポットを捉え続けなければならないという不自由さで、
しかし、一旦捉え始めれば走りの実作業じたいは極めて簡易であるという、逆説的で名付けがたい不自由さだ。
カーボンプレートの反発を利用し、足を回転させるという作業から、目標タイム内でのマラソン完走へと回帰させるには、まず、ズームフライのスイートスポットの場所を把握しなければならない。
だが、年が明け、マラソンシーズン残すところせいぜい「2ヶ月」という時間。
これは一見、自由な時間に思えるが、しかし「2ヵ月後にはすでに多くのランナーにとって本命レースは終了している」という事実が、ここにはある。
この2ヶ月という長いように錯覚され、倒錯した自由さは、同時にひどく凡庸な不自由さでもある。
この不自由さを規定しているのは「走り方」というある種の「制度」であり、それは「装置」とも「物語」とも言い換えられ、このあらかじめシューズに刷り込まれ、内在化された「走り方」は、無意識的にわれわれの行動を制限し、今まさに生まれ出ようとする意識を縛り付ける。
「厚さは速さだ」というプロパガンダによる無意識的な束縛を避けるためには、言葉の「意味」を崩壊させ、脱説話的に「記号」を「記号」として受け取るのを拒否し、「物」を「物」として見ることを、自らに要請せねばならない。
われわれは、21世紀的な「情報社会」から逃れるために、わずかな意味の裂け目から、「ズームフライ」という六つの文字のつらなりを解放し、生なましい本来のズームフライ、「物」としてのズームフライに回帰していかねばならない。
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あ、上の文体はもちろんパクリです。
蓮実重彦という人の「表層批評宣言」をパクりました。
人にものごとを伝える意味で、「文体」ってほんとに大事だと思っていて、
自分の文体ってものをまだ確立できていない自分なので、
人の文体をお借りすることがよくあります。
お借りする文体は、自分が伝えたいことを、
最もうまく伝えられるだろう、と思えるものを選んでいる。
ちなみに最初に言っておきたいのは、
当エントリーの宛先は、マラソンシーズン残り2ヶ月ぽっちという現状、
ズームフライを相棒とせんと検討をしている方々であります。
今週末、大阪国際、勝田、館山を走らんとし、
既にズームフライを相棒とされている方々は、
どうか、その相棒のことを信じて、全力を尽くして頂きたいと思います!
もちろん、自分は決してズームフライを批判しているわけではありません。
昨シーズン実力不足な自分に、サブスリーをプレゼントしてくれたシューズです。
愛して止まないことこの上なし。
だからこそ、ズームフライをこれから選ぼうとする方々には、
「厚さは速さだ」という言葉の「意味」を崩壊させ、「物」を「物」として考えた上で、
自分に合うかどうかを、冷静にご判断頂きたい。と思う一心。
なんせ、クセの強いシューズですから。
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ってここまでお固く書いたんですけど、
これを昨日書いていればパイセンとの連携コンボが決まったのにダメな後輩でしたorz
今書いているのは残業みたいなもんw
だけれども、「物」を「物」として考えるってすんげーシンプルなことだと思っていまして!
だいたいズームフライっていう靴の形見りゃ、
どんな走り方が合いそうかって、わかるじゃないですかぁ。
ズームフライ

ターサージール
同じ角度の画像がないので分かりにくいんですが、
ターサージールに比べてズームの方が
ドロップ(前足部と後足部の厚み差)が大きいように見えます。
まあ、数字で比べると全然そうでもないのですが・・・・・・。

ズームフライ :ドロップ11mm
ヴェイパーフライ :ドロップ11mm
ターサージール5 :ドロップ15mm
ターサージャパン:ドロップ17mm
アシックスのターサーシリーズの方が実はドロップは大きいんですよね。。
だけど、ターサーとズームフライの両方を履いたことがある人は分かると思いますが、
感覚的には絶対にズームの方が傾斜が付いていますよね??
なんでそう感じるか?
ターサーとの違い、はズームシリーズに内蔵されている「カーボンプレート」の固さによるもの。
赤いのがカーボンプレートですね。
カーボンプレートがあるおかげで、同じ力を加えても、、

フツーのシューズと比べて、
曲がりにくいソールになっています。
足を通しても前足部が地面に付かなくて、
ドロップを余計に感じるような仕組みになっていると思われます。
結局ズームフライの芯材っていうのは、
柔らかいLunalonっていうクッション素材ではない。
たぶんズームの厚底クッションなんつーものは、アシックスのFLYTEFOAM、アディダスのboost、ニューバランスのFRESH FOAMと大差ないと思いまして、
ズームシリーズの芯材は飽くまでカーボンプレートと思います。
ズームのスイートスポットはカーボンプレートにあり!!!
で、その形状を見るとですよ、、

○で囲ったベント(曲がり)にバネ=スイートスポットがあることは一目瞭然ですよね。
まず間違いなく踵部分にはない。
フォア~ミッド着地であれば、直にこのベントをとらえて、
「バビョーン!」という反発を得られる。
しかし踵着地であると、踵の厚いソールに反発を吸収され、
体重移動をして、スイートスポットのベント付近でテイクオフをしても、
恩恵なくはないけど、「ふぁびょん、」くらいの反発しか得られないんじゃないですかね。
だけれども興味深いのは、
ヴェイパーフライでなら、踵着地であっても結果を出す人が沢山いること。
塾長とかノブさんとか。
ネットで調べても「ヴェイパー踵着地問題なし」ってハナシは沢山出てくる。
でもズームフライ踵着地で結果を出す人って、気のせいかもですがあまり見たことがなく。
もしいたら興味深いから教えて欲しいのですが(>_<)
ヴェイパーフライとズームフライの違いって何かって言うと、重量ですよね。
たぶんの妄想ですけど、ヴェイパーフライっていう靴の重量(180g)って他の薄底シューズ(ジール160g)とあまり大差なく。
「軽さは速さ」で普通に走れる+踵着地のふぁびょんでもそれなりに得られるカーボンプレートの恩恵。
ヴェイパーのばあい、「ふぁびょん>重量=速さ」になっているのかなって。
だけれどもズームフライのばあい、あからさまに他の薄底シューズよりも重い(230g)。
よって、踵着地になっちゃうと、
「重量>ふぁびょん=鉄下駄化」
重さがカーボンプレートの反発に勝っちゃって遅くなるという図式になってんじゃないのかな、と。
で、結局ズームフライの重量克服のためには、
フォア~ミッド着地によってカーボンプレートのスイートスポットをとらえ、
「バビョーン!>重量=速さ」にする必要がある靴であるという理解。
厚底による足へのダメージの少なさってのは、
上記、「速さ」を得られた上での副産物。
速さが得られなければ単なる鉄下駄。
だから自分はズームフライを、半年以上掛けてフォア~ミッド着地を意識して取り組んできた人には推します。
それと、今は踵着地なんだけど、フォア~ミッド着地にしたい人にもおススメではあります。
人間自然と、速くなるように走ると思うので、ズームでスピード出そうとすると勝手にフォア~ミッド着地になると思います。
グレーなのは、自分では踵着地にこだわっているつもりだけど、もしかしたら無意識にミッド着地になっているかも~、っていうパイセンパターン。
まあ、これは知らんですw乗ったら結果的に速くなるかもしれないしw
ただ、ズーム愛溢れる自分目線からすると、迷いのあるまま乗って欲しい靴ではないってこと。
シーズン終わりゃ、遊ぶ時間はたくさんあるだろうし。
自分からしたズームフライっていう「物」を「物」として見て、
理解した特徴は以上の通り。
一応上記理解の下で履いて、分不相応なサブスリーという記録も出ました。
これからのシーズン終盤に向けて、相棒にするかどうか迷っている方の、
合う、合わない判断の一助になればいいなぁ、と思います。
ってハナシ。