日本映画界のレジェント的な存在である降旗康男監督と木村大作カメラマンが9年ぶりにコンビを組む16作目の作品『追憶』を観ました。
主演は「永遠の0」(2013年)、「海賊と呼ばれた男」(2016年)の岡田准一、共演には小栗旬、榎本佑、長澤まさみ、木村文乃、安藤サクラ、吉岡秀隆といった今や中堅となって活躍する面々が名を連ねています。
先行して発売された書き下ろし小説(小学館文庫 青島武)同様にじわじわと胸に広がっていく感動を味わえました。
刑事、被害者、容疑者として25年ぶりに再会した3人のフラッシュバックが効果的に挿入されていて無駄をそぎ落とした締まった作品になっていました。
25年前、能登半島の軽食喫茶「ゆきわりそう」で起きた悲しい壮絶な出来事。
「ゆきわりそう」を営む仁科涼子(安藤サクラ)の元で、それぞれの事情を抱えながら家族同然に暮らす四方篤、田所啓太、川端悟の少年3人はつつましいながらも幸せな日々を送っていました。
また、涼子に恋心を抱く店の常連客の山形光男(吉岡秀隆)は少年達に「山ちゃん」と呼ばれ親しまれていました。
そんな幸せが、涼子の元「男」である貴船(渋川清彦)により壊れていく・・・・・。
25年の時が過ぎて川端悟(柄本佑)が何者かに殺害されます。
容疑をかけられた田所啓太(小栗旬)が、刑事になっていた四方篤(岡田准一)に苛立ち気に放つ「刑事になって、自分だけ綺麗になったつもりか?」という言葉に25年間彼らを捉えて離さない苦悩の日々が凝縮されていると感じます。
四方の妻美那子(長澤まさみ)が四方に対して「あなたはひとりで何かを抱えている。」と、ふともらすシーンがあります。本当は「淋しい」はずなのに妻である自分にもそのことが告げられないままに日々が過ぎていったと。
ただ、「私も、今なら、あなたに、淋しいって言える」とふたりの間にあったぎくしゃくした気持ちのすれ違いが和らぐ様子にほっとする。
このシーンで、最近観た『こころ』(1955年)というモノクロームの映画がふと頭をよぎりました。
夏目漱石の小説が原作のこの映画では、日置という青年に「先生」と呼ばれる男が、どうしても妻に打ち明けられない暗い過去の出来事に悩み苦しむ姿が描かれています。
そして、殺された川端が娘に残した最後の言葉。
「ずっと会いたかったけど、会えなかった懐かしい人たちに会えた」
この言葉に秘められた本当の意味を知ったとき、25年の時の重みを改めて思い知らされます。
追憶 (2017年 日本)
監督 降旗康男
脚本 青島武
出演 岡田准一 小栗旬 柄本佑 長澤まさみ 木村文乃 安藤さくら 吉岡秀隆
矢島健一 北見敏之 安田顕 三浦貴大 高橋努 渋川清彦 りりィ 西田尚美 ほか
