街の匂いってそれぞれあるもので、
フランスに住んでいて、そこから
ヨーロッパの国々へと移動する
たびに、その街の匂い、それは
リアルな匂いだったり、その街
の持っている雰囲気のような匂い
も感じていたものですが、
このように移動しにくい時代に
入ってしまうと、当然ですが、
海外に行く機会もなく、朝起きて
窓を開け、その街の空気に、
匂いに包まれるという儀式?に
恵まれずにいます。
鮮烈だったのはモロッコのフェズ
の朝でした。
朗々たるコーランの響きが朝を
つん裂き、ホテルの部屋のバルコニー
に出た瞬間、思わず膝まづいてしまい
ました。
もしかしたら前世でこの響きに
包まれたことがあったかのように
自然に膝が折れ、空を仰いでしまい
ました。その時の街の匂いが今も
記憶の回廊の奥深くに眠って
います。