それから試聴が始まりました。いつもと同じように、
ビル・エヴァンスの『マイ・フーリッシュ・ハート』
から聞いて頂きました。
「普通このくらいの低い音でかけると、スネアの音が
曖昧になりがちなのにしっかりと聞こえますね」
『バッハの無伴奏チェロ』には「美しい」と。
そして女性ヴォーカルの『アン・サリー』の
ボサノヴァをかけると、「人の声は特にいいですね。
これはボサノヴァですよね、ブラジルに素敵な歌手
がいますよね、ジルベルト?でしたっけ?」
「ジョアン・ジルベルトですね。彼もこのスピーカーの
大ファンですよ」「素晴らしい!」こうして時間は
瞬く間に過ぎて行きました。「何か、オーケストラの
ようなものが聞いてみたい」と言ってタタさんはCDを
探し始めました。「チャイコフスキーはありますか?」
私はヴァイオリン・コンチェルトを選びました。
ヴァイオリンのソロが始まるところからタタさんは
身体が揺れてきて、音楽の中で漂っているように、
心から音楽を楽しまれているようでした。
約束の時間を過ぎても、エムズシステムの
スピーカーの音色を楽しんで頂き、
またこの試聴ルーム来ることを約束してくださいました。