モーツァルトではないけれど「ちなみに」この本で一番気に入ったフレーズは
村上春樹の『意味がなければスイングはない』からの引用で、
「僕らは結局のところ、血肉ある個人的記憶を燃料としていて、世界を
生きている。もし記憶のぬくもりというものがなかったとしたら、
太陽系第3惑星上における我々の人生はおそらく、耐え難いまでに
寒々しいものになっているはずだ。だからこそ僕らは恋をするのだし、
ときとして、まるで恋をするように音楽を聴くのだ」
音楽を聴くことの究極の意味について、これに付けくわえることは
何もあるまい。と「音楽の聴き方」の著者、岡田暁生氏もシャッポを
脱いでいます。
ここまで言われてしまっては、確かに何も付けくわえる
ことなど無いはず。まるで恋をするように音楽を聴く、という時代が、
人には必ずあるものだと、そう思います。
ぼくにとってはビートルズ。早く、一刻でも早く、家に帰って、ビートルズの
レコードを聴きたい、その想いは、まるで恋人に会いたい、彼女の声を
聞きたい、触れたい、愛したい、という気持ちと何も変わらない熱情に
動かされていたような気がします。