この仕事で魅力的なことは、取材ができること。自分よりも人生経験を積んでいるとか、頑張っていて輝いている人の言葉ってすごくためになる。
このたい焼き取材でも、ためになることを聞いた。

本当は記事の中に書きたいのだけれど、スペースがなくてやむなくカットした部分を書きたいと思う。

「浪花家総本店」の三代目で、取材対象最年長の85歳の神戸さん。

たい焼きの生みのの店だから、知名度もある。

量産すればきっともっと儲けられる。でもこの店ではあえてそれをしなかった。

「大銭ではなく小銭を稼げ」という先代の教えに従って。

商品を量産して大銭を稼ぐとそれは儲け主義になり、たちまち品質が落ちて信用がなくなる。

少しずつでも職人として小銭を稼ぐようにすれば信用は高まりお客が増え、最終的に大銭になるだろうという考え。

赤福や吉兆など昨今の不祥事を見ていると、本当にそのとおりだと思う。
だから「浪花家」はサービス精神も旺盛なのだ。


取材にも快く応じてくれる。すでに有名でうれているのに、店頭に出てアピール。遠方から来た客には麻布十番付近の地図を持ってきてくれたりと、気持ちのよいサービスをしてくれる。



「職人」というと、気難しいイメージが強く飲食業界であっても「サービス」精神はうりにしていないお店というのは多い。

そういう中で、浪花家さんにおいては売れていてもなお、一生懸命なのだ。

この姿には、飲食(というか、商売)を営みとする人の真髄が見えた気がした。

「接客」とは、こういうものなのだと改めて考えさせられた日だった。


今回のたい焼きの中で、こういう風に、顧客や商品に対し熱い思いを持っているのが特に伝わってきたのは、「浪花家総本店」と新橋の「櫻家」の2店。



新橋の「櫻家」では、夏場焼いている時にかなり汗がでるのだけれども、見ている人が不快に思わないよう何度もシャツを取り替えるなどできる限りのことをしているとのこと。

確かに私も焼き場に入らせてもらったのだけれど、カメラに良くないんじゃないかと思うほどめんむんと熱い。

その中で、一日中たい焼きを焼き続けるというのは大変な忍耐が必要に違いない。

私はそういうたい焼き職人に、尊敬の念を抱く。