陽気な雰囲気でノリノリのスタジオだったが、僕は一人違う観点で並べられたポラを冷静に見た。1つのライトでここまで写真が変わるとは自分でも実はわかってなかった。もうすぐスタジオマンを卒業して1人前の写真家を目指していた僕は、自分の技術の無さや、光を見切れる力が無い事を痛切に感じた。さんざんスタジオに入って様々な現場で写真家を見て来たが、やはり自分でシャッターを切ってしっかり写真に対して真摯な気持ちでなければ光は読む事は出来ない。「太陽は1つ」まさに今回はこの言葉どうリだった。僕はロケの方が気持ちがいいのはもちろんだし、突然の嵐とか気候がかわるロケが好きだ、たぶん先が読めない不確定なものをどうにか逆らわずに自然に任せて撮るのが好きだった。しかし、今回こうして光を思うようにコントロールするスタジオ撮影の喜びを初めて知った。順光と逆光の狭間を行き交う光は「ゾクゾクするほどセクシー」今でも僕が好きな世界がそこにある。「太陽は1つ」この言葉は今でも必ず撮影時に唱える言葉。周りから隔離されたような撮影の中僕はとても有意義な時間の中にいた。我に返るように耳をつんざくほどの爆音がぼくを撮影現場に戻した。みんなはポラでいいみたいなことを言ってるが、8x10ホルダーに詰めて来たEPRで同じようにまた撮影を始めた。すると、8x10ポラでじっくり写真を見たせいか、光が今までとは違ってものすごくクリアーに見れるではないか、目をこすっても、当たり前だけど夢ではなく現実。現像する前のフィルムに焼き込まれる像がはっきり見えた。これも初めての感覚だった。今までのタダ気持ちがいいだけの写真から、より深く確実に光を見切れるようになリ写真を撮る喜びが今まで以上に増した。スタジオのみんなにはヤキモキさせたが、残りのカットはスムーズに進み、結局、予定終了時間よりもだいぶ早く終わって、みんながそれぞれ達成感を感じているようだった。僕にしてみたらとんでもないピンチが、こんな形で僕の写真力を高めてくれるとは何だか神懸かりだった。
きっと写真の神様が降りて来たに違いない。
「太陽は1つ」と伝えに、、。