本日ご紹介する最後の部署は【コラプターズ】ですᝰ✍🏻
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皆さんこんにちは、農学部二年の上原直子です!
今年度上演する『冬物語』にてわたしがチーフを務める「コラプターズ(通称コラプ)」は、英語で書かれた原文を上映のために日本語に翻訳する役割を担う部署です。
以下、順を追って部署の説明をしていきます。
1.コラプターズと他部署との違い
2.部署名の由来について
3.活動内容
1.他部署との違いについて
コラプターズはその活動スケジュールや活動スタイル等に鑑みると、MSPのなかでは特殊な立ち位置にある部署と言えます。具体的な特徴としては、
‣他部署(キャスト含む)との兼任が可能
‣活動期間が2,3月~夏頃
‣アカコモ入り(駿河台キャンパスアカデミーコモンで行われる作業のこと)がない,
上演期間中に観客として舞台を観に行くことが可能(コラプターズ専任の場合)
‣活動場所がオンライン(zoom)
‣部署名から活動内容が推測しづらい
といった点が挙げられます。
コラプターズは原則完全オンラインで作業を行う部署ですので、MSPの拠点となる和泉キャンパス、駿河台キャンパス以外に通学されている方にとっては、最も参加に際するハードルの低い部署かもしれません(『冬物語』の現行メンバーでいうと。文学部、国日、農学部、法学部、情コミ、商学部、理工、経営とさまざまな学部からメンバーが集まっています。)。また、コラプターズの作業を受けて台本が作成されるため、作業期間が他部署と重複しないことも特徴です。
コラプターズの作業は比較的個人負担が少ないので、就活や留学、サークル等で多忙な方にもおすすめですが、コラプターズのお仕事だけでは物足りない、という方は他の部署と兼任することもできます。今年度の参加者の方の中にも、昨年度公演の照明さん、キャストさん、衣装部さん、舞台美術部さん、制作部さん、映像スチール部さん、楽器隊さん…などさまざまなお仕事を経験された方がいらっしゃいます。コラプターズの仕事を通じ作品の世界観への理解を深めていくことが、他部署での活動の質を高めることにもつながります。他部署での活動を希望されている方も、是非コラプターズとの兼任をご一考いただければと思います。
2.部署名の由来について
先程部署の特徴として「部署名から活動内容が推測しづらい」という項目を挙げたように、コラプターズという部署名から活動内容を推測することは非常に困難といえるでしょう。そもそも、「コラプターズ」とは一体なにを示す語なのでしょう?
「コラプターズ」は英語に直すと`corrupters`という綴りになります。これによく似た単語にcorruptionというものがありますが、贈収賄や汚職、頽廃といった非常に穏やかならぬ意味の語です(corが「完全に」rupt が「破れる」→腐敗した、堕落した)。
では、なぜ翻訳者集団の名前が「コラプターズ」なのでしょうか? 実はこれは、『一二夜』(もちろん作者はシェイクスピア)に登場する台詞、
“I am indeed not her fool, but her corrupter words”
(俺は姫さんの道化じゃない、ただあの方の言葉を堕落させているだけなのさ)
に由来する名称なのです。ここから派生した「言葉を一度壊して、新しく創造しよう」というコンセプトで、コラプターズは日々活動しています。
(…とはいったものの、私がこの謂れを知ったのも実はかなり最近だったりします。)
3.活動内容
コラプターズの仕事は、大きく分けて
①下訳制作②検討会
の二つに分かれます。
‣下訳作業:各メンバーが、一定の長さの原文(英語)を和訳する作業(訳出箇所は、参加決定
時に割り振られる)。現代語訳(英語)や、日本語の既約などを参考にしながら作業を進める。
‣検討会:共有された下訳を参加者全員で検討し、ブラッシュアップしていく。場所は原則zoomで、週1~2回、3時間程度。
・下訳作業について
この作業はレポート作成と同じようなものと(わたしは)捉えています。個人作業ということで、歴代コラプターズ皆さんがどのような作業をされているのか分かりませんが、一例としてわたしの下訳環境をイラストにしてみました。
ここに書かれているPC及びタブレット端末の画面を再現するとこのような感じです。
シェイクスピアの時代の英語は現代英語とは少々異なる点も多く、はじめは原文の読解の難しさに戸惑うことも多いかと思います。けれどコラプターズではむしろ、そのような英文読解よりも、日本語表現に重きを置いているので、文意や解釈で分からない部分は日本語訳(コラプターズで共有されます)や現代英語訳など補助的なツールに頼って解決していくのがおすすめです。また万が一誤訳してしまっても検討会で訂正できるので、失敗を恐れず、伸び伸びと訳してみてください!
(翻訳作業のお供として私は山本史郎先生の『翻訳の授業』を愛用しています。)
・検討会について
参加は自由で、途中参加なども自由です。基本的には参加者の意見交換を通じて訳をブラッシュアップしていくのですが、文学部の井上優先生や演出さんのお力添えも得て、芯のある訳を追求していきます。自分の下訳担当部分が検討される回に初めて参加される方も多い印象です。
おわりに
長々と書いてまいりましたが、少しでもMSP、ひいてはコラプターズのお仕事に興味を持っていただければ幸いです。今回は私の例ばかり載せてしまいましたが、コラプターズは自由度の高い部署であるからこそ一人一人の個性が生きる部署です。これを読んでくださった皆さんと、『冬物語』でご一緒できることを願っております。