正司敏江・玲児の玲児師匠が亡くなった。

ますだおかだが初めてテレビに出演したのは、1993年4月のサンテレビ『金曜いきいきタイム』。生放送で、しかも若手漫才師4組によるガチンコの即興漫才大会。その審査員をされたのが、初対面の正司敏江・玲児師匠だった。

漫才を終えた俺らの感想を求められた玲児師匠のコメントは「君ら、服が汚なすぎる!」確かに、2人ともジーパンにジャンパーみたいな格好やった。

エンディングの総評でも、「ますだおかだの服は、どないかならんのか!」

放送後、玲児師匠に挨拶に行くと再び衣装の話になり、「君らがもし賞レースで優勝したら、衣装買うたるから頑張れ!」と言って下さった。

その9ヶ月後、『ABCお笑い新人グランプリ』で俺らは優勝して最優秀新人賞を頂き、後日、劇場の玲児師匠の楽屋に、「覚えてくれてるかなぁ?」と岡田と言いながら半信半疑で報告に行くと、玲児師匠は「おめでとう!これで衣装でも買いなさい!」ポンと10万円をくれた。


後日、岡田とスーツを着て玲児師匠の楽屋に訪れた。

ますおか 「師匠、買わせて頂きました!」

玲児師匠 「似合うやないかぁ~!」


実は、その時に俺らが着ていたスーツは、その10万円で買ったモノではなく、サラリーマン時代に着てたモノ。そう、俺らはスーツを買ったことにして5万円づつ山分けしてしまったのだ。俺らはその最優秀新人賞をいただいたことでアルバイト生活は卒業できたものの、10万円はまだまだ大金だった。


玲児師匠とはもう8年くらいお会いしてなかった。そのことを謝れないまま、そして何も恩返し出来てないことが悔しい…。