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敗戦後数年を山深い農村の疎開者として過ごした土屋文明。「川戸雑詠」と題する多くの作品がある。

その中に 代表作とも言われているアズマイチゲの歌がある。この時代に立ち返って この歌をよまないと

作者の歌わずにはいられなかった信念が 見えてこないが 今日は ちょっとしんみりしてしまった。


合い鬩(せめ)ぎ互いに貶(おと)しめ小さなる此のくにつちを如何にせよとか


めぐらせる雪の山々もかくろひて吾が住む狭き谷に帰り来

海遠く未(いま)だ帰らぬを夢のうちに相見泣きつつ覚めて静けし

走井に小石を並(なら)べ流(なが)れ道(みち)を移すことなども一日のうち

北支那より帰りし君を伴へど雪の下には採(つ)むべきもなく

吾が言葉にはあらはし難(がた)く動く世になほしたづさはる此の小詩形(せうしけい)

風なぎて谷にゆふべの霞あり月をむかふる泉々(いづみいづみ)のこゑ

にんじんは明日蒔けばよし帰らんよ東一華(あづまいちげ)の花も閉ざしぬ

この言葉も亡(ほろ)びるのかと嘆(なげ)かひしこともひそかに吾は思はむ


短歌一つだけ取り出しても 情景が伝わりませんね。アズマイチゲの歌も 一連の中の一つ。



昨日は 一輪しか見れなかった川のふちに 今日は 水飛沫をあびて 5,6輪咲いています。

雪が溶けると直ぐに 花を持ち上げ咲き出す。雪国の春です。