最初の診察から、不安なことはたくさんあったものの

心の奥底では今すぐ全世界に言いたいほど自分が妊娠したことが嬉しかった。

私はとても愛のある家庭で育ったと思っているし、家族もみんな仲がいい。

大好きな家族に、一番に伝えたかった。

 

実家まで車を走らせて、その時家にいた妹と母に伝えに行った。

エコー写真をパッと机の上に出したら、妹は

「ワァアアア」

と言いながら拍手していたし、母も同じく

「ワァアアア」

と言いながら私に飛びついてきた。

病院で言われたまだどうなるか分からないという診断を伝えた上で

どうなるにせよ助けてもらうつもりなので、という事で二人には伝えた。

 

父はおばあちゃんの介護で、ほぼ実家ではなくばあちゃん家にいる。

でもやっぱり直接言いたかったので別日に、ばあちゃん家までまた車を走らせた。

ばあちゃんらに言うのはちょっと期待させるのに早い気がしたので、

父と二人になるタイミングを伺って、

「お父さん、話があるんだけど、お母さんから聞いた?」

と切り出した。

「ん?何が?」

と返って来たので母はまだ伝えていないみたいだった。

「子供ができてね」

と勇気を振り絞って言うと

「え?お母さんが!?」

「いや!!!なんでよ私よ!!!!」

とあまりにも急にボケかましてきたので、思わず私もハッキリ言ってしまった。

 

そうかあと言いながら、旦那の様子はどう?とかポツポツ聞いてきた。

そして私から離れて窓辺に行き、窓の外に向かってタバコを吸い始めた。

この時、私に背中を向けてタバコを吸う父を初めて見た。

父は根っからのヘビースモーカーで、タバコは酸素と言っていた。

物心ついた時から、いつ見ても、どこでも、父はタバコを吸っていた。

ドライブする時も、家で話をする時も、いつでも吸っていた。

おそらく胎児の時から私は副流煙を吸って生きてきたんだろうと思うくらい。

小さい頃よく父のタバコを買いに向かいの和菓子屋におつかいに行った。

その父がだ、私からわざわざ離れていって背を向けてタバコを吸っている姿に、ちょっと涙が出そうになった。

私は宣言通り家の一箱を吸い切った瞬間から禁煙を始め、タバコを吸えない寂しさや、時間が手持ち無沙汰になったりはしていたけど、吸いたいという気持ちは自然と起きていなかった。