季節は冬。

最寄の駅を出ると
イルミネーションでキラキラしている。

私は大学1年生。
冬にもなれば少しは大学になれてくる。
そんな時期。

とりあえず好きな人もいて、
将来の夢もある。

普通と言えば普通な女の子。

自己紹介はこんなもの。

そんな平凡な私の話。



-クリスマスの2日後-


朝目を覚ますと
枕元に小さな箱が置いてあった。

可愛くリボンがついていて
本当にクリスマスプレゼントみたいだった。

それにしても時期はずれなサンタだ。
というより
うちの家族にそんな洒落たことをする人はいないと思う。

じゃぁ誰だ?
わからないけど開けてみたらわかるかもしれない。
そう思ってリボンを外して箱を開けてみた。

すると押しボタンのようなものがついている
小さな丸いものが入っていた。

なにこれ?

何気なく裏返してみると
小さく文字が書いてあった。


後悔の時に押してください。
あなたの時の分岐点まで戻ります。
記憶は戻りません。
最後のあなたには何も残らないでしょう。


不気味。
そう思ったのが正直なところ。

だけど
あんまり信じてもなかった。
時間を戻せるボタンってことでしょ?
ドラえもんじゃあるまいし
あるわけがない。

でも現にここにボタンはある。
不思議だし、やっぱり不気味。

私はそっと机の引き出しの隅にしまった。

もしも
このボタンが本当に使えたら…?
そう思うと冗談では押せなかった。
それに後悔して
時間を戻したいなんてそんな。

だいいち本当なわけがない。
友達や親に笑いながら話す気にもならなかった。
馬鹿にされるのは目にみえているし、誰も信じやしない。
だって私も信じてないのだから。

だけど捨てるのも気がひけた。


とりあえず、しまっておこう。





つづく。