発送電分離 | mこさのブログ

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40代半ばの男が今思うこと

経産省の有識者委員会がまとめた、電力システム改革についての報告書案では、発電、送配電、小売事業ごとに縦割り免許を導入し、


電力会社の送配電部門を分社化する法的分離を4~6年後とすることが明記されている。


 東電の原発事故により、電力業界と経産省との癒着体質が明らかになりましたが、原発行政のあり方が見直されるとともに、大きくクローズアップされたのが発送電分離の問題です。1995年に始まった新電力と呼ばれる新規発電事業者の参入により、電力料金の値下がりが期待されましたが、それを拒んできたのが、送電網保有する各地域電力会社の寡占状態でした。新電力がいくら低コストの電力を作り出しても、電気を送る送電網を牛耳られているのですから、送電網の利用料金を吊り上げてしまえば、新電力のメリットが消失してしまいます。また、現時点では、企業などの大口顧客にしか新電力の電気が融通されないようですので、我々消費者には新電力の存在意義は見出せません。もっとも、首都圏の新築マンションなどでは、建屋全てで電気を契約することで大口顧客になり、安い電気を享受できるようになっているようですが、戸建てではどうしようもありません。


 しかし、各地域の電力会社は純然たる民間企業であるので、その保有資産である送電網を取り上げて、一括管理するのは並大抵のことではありません。そのため、報告書案では、その道筋を三段階に分けて考えています。まずは、各社の営業区域を越えて電力需給を調整する「広域系統運用機関」を15年までに設立し、次に小売の参入を全面自由化する。第三段が電力会社の送配電部門の独立性を高める発送電分離です。報告書によると、送配電部門を「法的に分離」して完全な別会社にするとなっています。

 また、悪名高い「総括原価方式」の撤廃も盛り込まれており、大手電力会社の寡占が強い初期段階では不要な値上げを防ぐために、この制度を維持しつつも、最終的な自由化がなった後には、完全撤廃となるようです。ここまでは良いことばかりですが、大手電力会社で作る電気事業連合会の多大な抵抗が考えられることや、送配電会社の運営方法の策定など様々な障害が待ち受けているでしょうが、是非とも成し遂げてもらいたいと思います。


 電力自由化は料金選択の自由を保証する以外に、大きな効果をもたらします。これまではピーク需要へ対応するために、多大な発電設備の稼動が必要であり、例えば東京電力管内では12%のピーク需要のために45%の電力設備で補うなどの無駄が目立っていました。そのため、ピーク時の電力料金を市場原理に従った変動性に移行するのです。今でも夜間料金が安く抑えられるなどの制度はありますが、それをもっと大胆に変えるべきなのです。つまり、電力市場を整備して、小売業者が電力をリアルタイムで売買することで、需要の状況に応じた料金が決まります。複数の小売業者が自由に参入することで、初めて可能になる制度です。同時に需要家にもリアルタイムの料金を周知することにより、需要の抑制が期待できることになります。もちろん、このような状況に応じたシステム開発は必須であり、その中にはスマートメーターの普及も含まれます。


 毎年夏の恒例行事となった節電要請ですが、リアルタイムでの電気料金の状況が把握できれば、闇雲に節電に走るのではなく、「不必要な節電」が不要になるのです。料金が高い時間帯だけに節電を心掛ければよいのですから、発電業者も収入の減少を最小限に抑えられます。一方、発電業者が恣意的に供給を抑制して、電力価格を吊り上げるなどの行為を抑制するためにも、強力な監視機構の整備も重要になりますが、健全な市場原理を導入できれば、不自然な行為は淘汰されるはずです。そのためにも、規模に関わらない発電業者の自由参加が必須となります。

 もちろん、自由化により電気事業連合会が述べているように「安定した、品質の高い電力の供給」とは異なる側面が見えてくる可能性もありますが、欧米諸国では30年前にすでに発送電分離も含めた電力自由化が施行されています。日本企業が海外との競争に勝ち抜くためには、安価な電気料金がどうしても必要なのです。原発ゼロを決定したドイツでは高コストの電気料金負担が強いられている上に、供給不足を補うために隣国フランスから電気を融通してもらっています。これは原発大国フランスが原子力発電で作り出した電力なので、ドイツ政府の方針に反するものです。そもそも、ドイツで原発が無くなっても、フランスの原発が事故を起こせば、放射性物質は偏西風に乗ってあっという間にドイツに到達します。チェルノブイリの原発事故のときも、ヨーロッパ全域が放射能の被害にあったと聞きいています。

 仮に日本で原発が無くなったとしても、韓国や中国で続々と作られている原発が事故を起こせば、その被害は日本に及ぶ可能性は十分にあるのです。現実的に、中国の都市で発生している呼吸器官への悪影響がSARS以上と称される、凶悪な有毒スモッグが日本の一部に到達しているのです。つまり、全ての国で原発や核兵器をなくさない限り、放射線被害の恐怖は常に付きまとうことになり、現実的には全廃は不可能なのです。もっとも、なんかの間違いで核融合発電ができてしまったら、話は別ですが。


 我々も理想論にはしらずに、現実を見据えた対応が必要になると思うのです。今年中にも、四国、九州電力の原発が再稼動する見込みですので、それをヒステリックに否定しないで、電力自由化による需給環境の最適化を待つべきです。そうすれば、自然と原発全廃が可能になるかもしれません。


以下は経産省の報告書です。電力自由化の最強の抵抗勢力がこうも変質した理由が知りたいです。もしかすると、霞ヶ関文学による自由化を否定する文言があるのかもしれませんが、私にはわかりませんでした。

http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denryoku_system_kaikaku/pdf/008_03_00.pdf