これまで小2の娘は
下校して一人で自宅の鍵を開けて
中に入ることは出来ていた。

でも、自分ひとりで自宅の鍵を締めて
出掛けることが出来なかった。

この日はそのデビューとなった。
娘がスイミングに出掛けるまでに
私の帰宅が間に合わなかったからだ。

この日の予定をずらすことも出来たけど
私は敢えてこの日に決行した。
娘にちょっぴり成長してもらいたかったからだ。

前々からそのことを伝えていて
娘は嫌がりながらも前夜、自分で
何やら紙に書いていた。


母不在による緊張で
やるべきことを忘れてしまわないように
自分で考えて書いていた。

そして当日の朝、登校前に
とても悲しそうな顔で私を見つめてきた。

「大丈夫!みっちゃんなら出来るよ!
    困ったことがあったら、電話ちょうだいね」
私がそう言って娘をギューッと抱き締めたら
シクシク泣き始めた…。


大丈夫!
何事も必ず初めてのときがあるの。
初めてのときはちょっと怖くて勇気がいるの。

そのうち貴女は
自分で考えて
自分で決めて
自分で行動するようになる。

貴女の人生を
貴女が自分で切り開いていけるように
お母さんは応援するよ。

今、泣いてしまったのは
貴女が頑張ろうと自分で決めたからなんだよ。
だから不安がいっぱい込み上げてきて
怖いんだよね。

私は心の中でそんなことを思いながら
娘の小さな体にギューッとパワーを送った。

目の前の娘が可哀想で
私は少し苦しかったけど
娘を信じて学校へ送り出した。

そして午後
娘がスイミングへ出掛ける予定の5分前に
私の携帯に電話がかかってきた。
娘は「ママ、今から行ってくるね」と言いながら泣いていた。

たった一人きりで
不安いっぱいで
あんなに小さな体で泣いている娘を思うと
私は喉のあたりがギューッと苦しくなった。

・・・・・・・・・

スイミングから帰宅した娘は
ニコニコ元気いっぱいだった!

「みっちゃん、一人でスイミング行けたね!」
「うん!でもね、緊張して宿題出来なかったの。それとね、ママの手紙見たら、ママに会いたくなって、3回も泣いた!」
「ええ!?そんなに?」
「うん。だから、もう手紙は書かないで!」
「お母さんはみっちゃんを励ましたくて手紙を      書いたのに~!悲しませちゃったの?」
「うん。だから、これからはキッズケータイに
    メールくれる位のほうがいいな」


「あのね、手紙の『がんばるみっちゃんを応援しているよ』のところにママの愛を感じて辛くなったの」
だって。

私が一番心を込めて書いた部分が
娘の心にも届いていたことは嬉しかった。

でも、これからは
手紙じゃなくてメールがいいのかな?

母の愛は伝わったほうがいい気がするけど
それで辛くさせてしまうなら
伝えないほうがいいのかな?

母の愛は、母の温もりと共に感じられたほうが
娘にとっては心地いいのかな?

まあ、私がそのとき思ったように
やればいいっか!

正解なんて誰にもわからないのだから。







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