千葉さんから問題提起があったのは、『窓口業務改善にとって総合窓口は最適解なのか』ということ。
総合窓口はひとことで言えば複数手続きを一箇所で行える窓口。
やり方も自治体によって違っており、船橋市はワンフロアに窓口を集めたワンフロア型。
続いて、松山市は、人材育成をしっかり行って一人の人間が全て対応できるようにするスーパーマン型。
さらに、福岡県粕屋町はインテリジェンス型ということでシステムで処理する形で運用されているようです。
総合窓口の目的は、住民サービスの向上と業務効率化ですが、予算やマンパワーの制約もあり、導入している区市町村はまだ約12%程度とのことです。
近年では、財政力・組織力のある自治体での導入がほぼ一巡したのではないかと言われているようですが、総合窓口が必ずしも最適解とはいえず、現在、『住民誘導型総合窓口』という新たな形態も薩摩川内市で導入されており、今後も窓口業務の改善は最適解が模索される状況にあるとのことです。
ポイントは一つのやり方にこだわらず、住民サービスの向上のために、ワンフロア型やスーパーマン型など最適な形を試して改善していくことが大事のようです。
次にあったのは、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング )のお話。
BPRとは、企業活動や業務の流れを可視化して分析し最適化すること とのこと。
こちらの手法を使って船橋市では、窓口業務の業務フロー図、業務記述書、RCM(リスクコントロールマネジメント。業務のリスクを分析する手法)を作成。
まず業務の可視化として、業務フロー作成後、各課からヒアリングし、業務記述書を作成の流れを繰り返し業務分析を進めたとのこと。
業務フローを可視化することで、他課手続きの複線化など業務をまとめることができ効率化されたとのことで、具体的には、窓口交付の空き時間で戸籍謄本などの郵送請求を処理できる改善ができたそうです。
重要なのは、業務の見える化を行い、第三者の視点でチェックすることで、業務の効率化を図れるのではないか、ということでした。
続いては、北海道北見市 及川さんからのお話。テーマは、窓口業務改善の視点とポイント。
窓口業務改善の基本として2点の考え方があるとのこと。
一つ目は、利用者視点から考えること。
二つ目は、情報の整理。
利用者視点から考えるために、新人職員で体験調査を行ったところ、結果として、記載台から申請書探す、書き方を聞くなどの手間が発生し、何をしたらよいかわからず職員に聞いてしまうことになったとのこと。
やはり浮かび上がった課題は、『どの窓口で何をしたらよいか分からない』ということ。
そこで、窓口を情報処理ととらえて、情報の整理をすることで改善したとのこと。
具体的には、窓口ごとに制度の内容や条件が異なり、手続きが煩雑という課題に対して、案内事項を整理して、申請書をチェックシート化して分かりやすく改善。
まず情報整理して案内事項を7種類に整理してチェックシート化したら、分かりやすいと好評となり、いつの間にか他自治体にも広がることになったとのこと。
当日の勉強会会場でも配布されましたが、転入したときの手続きの一覧が一目瞭然となり、分かりやすくなってます✨
そして、内部改善として、郵送請求の戸籍処理などノウハウが求められる事務処理については、12種類の処理票にノウハウを見える化し、処理のステップを定型化して処理状況が分かるように改善。
さらに、外部の案内と導線の改善を行い、案内看板を自作して課の名前ではなく目的や分野を前面に出して分かりやすくしたとのこと。
これらの取り組みについては、市民からも分かりやすくなったと評価をいただくとともに、職員からも仕事を進めやすくなったと評価をいただいたとのこと。
住民も、職員も、双方が幸せになる業務改善に取り組んでいるところが素晴らしいですね😄
以上が講師の方々のお話でした。
各自治体の窓口業務改善については、総務省も取り上げており、モデルプロジェクトについては、こちらの報告書から見られます。
総務省業務改善プロジェクト報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000540323.pdf
そして、そもそもの話としてなぜ絶え間ない改善に取り組む必要があるのか。
それは、総務省の新たな自治体行政の基本的考え方として、2040構想というものに示されています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000548065.pdf
今後人口も減る中で、自治体職員も減少傾向になり、より少ない人数で行政運営にあたる必要がでてきます。
その際には、総務省の報告書曰く『全ての自治体で業務の自動化・省力化につながる破壊的技術(AI やロボティクス、ブロックチェーンなど)を徹底的に使いこなす』いわゆる『スマート自治体』としての転換が求めらるとのことです。
つまり、テクノロジーの力を活用して、従来のサービス水準を維持、さらには向上させることが求められるようになります。
この2040構想に基づく事業は、総務省の31年度概算要求に『自治体構想2040の推進』として7.3億円が載っており、これから具体化が期待されます。
スマート自治体は、まだ総務省としても手探りで、どこに落ちつくかは分からない状況とのことです。
船橋市でもRPA(ロボティクスプロセスオートメーション。ロボット・AIなどを活用した業務効率化)導入に向けた実証実験を実施されており、今後、対象業務の選定と業務の可視化を実施していくとのこと。
そして、10月29日に、東京都もRPAの実証実験を行うため事業者と契約締結を発表しました。
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/10/29/05.html
さらに、つくば市もRPAを活用して定型的で膨大な業務の効率化を図るなど先進的な取り組みをしております。
http://www.city.tsukuba.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/854/rpa_report0510.pdf
こうした自治体現場での事例の積み重ねが『スマート自治体』を作っていくのでしょうね。
そして、目指すは、住民にも、職員にも、優しい窓口、そして行政サービスの実現‼️
それでは、また。













