島根県邑智郡邑南町、山に挟まれた谷間の集落にかつて走っていたJR三江線、その途中駅の宇都井駅

(撮影:2016年11月26日・27日)

 

 

谷間をかなり高い高架線で跨ぎ、その高架上のホームへの階段は実に116段

 

 

鉄筋コンンクリートの建物、約10段ずつ折り返して昇降する階段室構造

まるで昭和30年代以降に急増された公団住宅などの5階建て団地の階段みたいでした。途中の踊り場に302号室とかの部屋があるのでは…何て錯覚するくらい(無い無い(笑))

 

 

116段の階段を上がり切って、駅の待合室そしてホームにたどり着く。改札も切符売り場も無い、無人駅

場所が場所なのと、利用客も少ない事もあってエレベーターなどの設備は無く、階段での行き来のみであり、かなりの苦行である。

 

 

駅構造は単線片面ホーム。全長はとても長くキハ40ぐらいなら6連は停車できそうですが、実際にはキハ120の単行~2連がメインでホームの長さを持て余し気味でした。

 

 

 

 

 

駅構内から、高架下の集落の眺めはとても絶景

 

トイレは高架下、駅入口付近に設置。公団住宅なら洋式水洗トイレが定番ですが、こちらは汲み取り式。取材当日イベント(後述)の為に仮設トイレが増設されていた。

 

 

2010年から毎年11月頃に「INAKAイルミ」といううイベントが開催され、宇都井駅がライトアップされています。この日だけは三江線や宇都井駅が賑わう貴重な日。但し列車の運行は通常通りでしたが…

 

 

 

三江線が昭和50年に口羽~浜原間の開業により全通、しかしその頃から既にクルマ利用の増加や沿線人口の減少で利用客は伸び悩み、廃線の話が度々出ていた。そして2018年3月に三江線廃線と共に、集落の高架駅であった宇都井駅も廃駅となりました。廃止同日もライトアップが実施されて、最終列車到着時には惜別の花火が打ち上げられ、有終の美を飾ったそうです(管理人も行きたかったな~)

 

宇都井駅の廃駅後も駅施設は残り、「INAKAイルミ」のイベントは継続して行われたり(2020年はコロナ禍によりネット動画配信のみ、2021年については未実施?)、軌道自転車の運行や軌道内でのイベントが行われたりしました。

 

その後、宇都井駅と、その隣の口羽駅については邑南町が権利を取得し、鉄道公園として整備されました。鉄道施設を活用した保存がされているのは大変喜ばしい事です。