地球半周の旅2019 13ヶ国目・イタリア お別れの時の深い話 | 「旅日記」

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11月29日 FRI ☂⇒☀

今日の夜
ローマを発つ

2日の滞在ってやっぱり短すぎるな

今朝も早い時間から仕事にでかけてしまうアブドゥ
折角ローマに来たというのに
アブドゥときちんと話をする時間が全くなかったのは残念だ

アブドゥと入れ違いにモハメドが訪ねてきた
一緒に紅茶を飲みながら
会話にならない会話を楽しんだ
彼と話をするのは伝言ゲームをしている感覚に近いかもしれない
今夜私がここを発つことはアブドゥから聞いているらしく
「もっと長くここに居ればいいのに」と言ってくれる

確かにね…
長く居られるなら居たいよ


明日は寒い寒い南ドイツの街に行く
暖かいセーターの1枚でも用意しないと耐えられないだろう
何せドイツに行くことなど予定になかったのだから

そういうわけで買い物に出かけた

昨日行ったCinecittaDueへまず行き
Wifiを繋げた

訪ねていくBernhardにお迎えに来てもらうバスターミナルの詳細を送った

それからもう一人
ドイツに嫁いだ友人Kにもドイツ訪問のことを連絡をしていた
Bernhardの住む町と
友人Kの住む町はわりと近いので
Kにも会えないかと予定を聞いていた

その返事が来ており
週末は忙しく
日曜日の限られた時間の
限られた場所に来てくれるならOKとのことだった

Bernhardに相談するために
再度メッセージを送り…
返事はこの時には得られず待つこととなった

会えるといいな~

セーターを探そう!
CinecittaDueでは「これ!」というものが見つからず
取り敢えずカルフールで
自分用にお気に入りのLavazzaのコーヒーを買って出た


CinecittaDueのクリスマスツリー

今日はメトロの路線と並行して走る大通り
Via Tuscolana沿いにビッシリと並んで建つショップを見て探すことにした

ここで何とか買い物がしたい!
丁度今がbig saleの時
Black Fridayだからだ!!
何軒か見て歩いて辿り着いたのはH&M
ここで暖かそうな気に入る一着を購入した

午後3時を回ってしまった
そろそろ戻ろう

アブドゥが帰ってきていた
ランチにとピザを持ち帰りしてくれていた
これから出かけるらしく
バタバタと支度をしているところだった

「今日は何時にここを出るのか?」
バスの出発は日付が変わって0:30
出来ればギリギリまでここに居たいが
公共交通機関の当てにならないイタリアでそんな冒険は出来ない

「(夜の)9時くらいに出ようかな」と私

「もし俺が帰ってこれなかった鍵を置いてって」
「分かった!」

「もし戻れたらメトロの駅まで車で送ってやる」
(期待はしないでおく…)

もしかしたらこれでお別れかも?!
そう思ってお見送りをした

この時まで部屋にいたモハメド
今日もキッチンで煮込み料理に精を出している

歩き回って疲れた私は仮眠を取りたくて横になった

気が付いたのは夕方
部屋が真っ暗で慌てて時間を見た

6時過ぎだった
良かった…寝過ごしたかと思った

キッチンにいたモハメドがいない!
あぁぁぁ最後にお別れのご挨拶が出来なかった!
心残りだ

シャワーを浴び
荷物のパッキング
丁寧に詰めたので小一時間かかった

キッチンには美味しそうな匂いが漂っていた
モハメドが作って置いて行ってくれた煮込み料理だ!
有難く頂いた

私がここに居る間にアブドゥは戻ってくるだろうか…

8時半すぎ
アブドゥ帰宅
持ち帰りのピザを持って…
「ランチでも食べたよ」と不満げに言うと
「じゃぁ食うな!」と言われる

昔もそんなやり取りばかりしていた
悪気があるわけじゃないのは分かっている
しょっちゅう腹を立ててたけど
今となってはそんなやり取りが懐かしく感じる

束の間のおしゃべり
最後の最後に顔を合わせて話ができたのは嬉しい

彼はモロッコ人
イタリアに住んで30年以上になる
10年前にイタリアのパスポートを取得した
イタリアに永住することを彼は望んでいない
いずれはモロッコに帰りたいと思っている
でも生活が成り立たないので
ローマにいるという状況は昔も今も変わらない

彼との結婚を考えた時期が過去にあった
それは私がムスリムとして生活をするということになる
それを受け入れ
戒律を守ってラマダンしたり
大好きなお酒をやめたりの生活を送っていた

それがいつの間にか
離れて暮らすようになり
私はラマダンをしなくなり
礼拝も行わず
お酒も解禁した

一昨日
私が一切の行いを断った話をした
彼はすでに気が付いていたのだが
黙って私の話を聞いていた

21時を過ぎ
「そろそろ行くね…」と言ったとき
彼は最後に
「お酒を飲もうがラマダンをやめようが
そのことについては何も言わない
だけど神を信じてくれ
神はこの世に存在するのだと!」

その言葉を聞いて
これが彼が私に対する最低の許容ギリギリなんだと悟った

深くて重い話だった


車で駅まで送ってくれると言って
一緒に外に出た

「本当はバスターミナルまで送っていきたいが
今日は疲れたから駅まででごめんな」と彼

こんな風に言ってくれるのは初めてな気がする

車を降りて私の荷物を持って改札まで来てくれた
アブドゥとはここでお別れ

不思議と涙は出ず
「またね!チャオ!!」