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Smile! ジャマコの小さな幸せ

たのしかったこと、
おいしかったこと、
発見したことなど
小さな幸せを徒然なるままに
綴っていきます。

新国立劇場渾身の新作オペラ公演、
「アルマゲドンの夢」世界初演、
4回公演が今日無事千秋楽でした。

特に印象に残ったのは
電車の中に転換した時にクーパーの後ろ、ガラス越しに映る兵士達のすがた。
電車から出て行く時のフォートナムの
(いわゆる)ドヤ顔。
プロンプターボックスからでてくる
ピンクの手。ベラが撃たれる時に
大写しになっている子供の泣き顔、など。

そして、ラストシーン、今日の
「アーメン」は神がかっていた。
息を呑む聴衆。休符も音楽だった。

客席の自然なスタンディングオベーションも。特に3階、4階は総立ち?と思うくらい熱を帯びていました。

新国立劇場オペラのTwitterより

 

 

千穐楽への道。このポスターも
今日までか…と思いつつ。
千穐楽!!

あっという間の1週間だったなあ…

この景色も今日まで。(来週はこうもり)1週間で季節もながれました。

Singing Manとともに振り返る1週間。
初台の初日(11/15)
クリスマスツリー組み立て中。
まず、音楽の美しさに惹かれ

2日め(11/18)完成。点灯はまだ。
次は舞台美術に注目し、

4日め(11/23)点灯、プログラムも
隅々まで読み、物語と人間関係の全貌が
掴め(た気になり)
おー♪  3回もみたのかえ?

さてさて、来週はいよいよ年内最後の
公演「こうもり」です。
2時間前まで舞台を彩っていたセットは
解体作業されていることかと。
夢だったのか?とふと思う。

演じる側・観せる側は今日で締め括り
気持ちは次に、でしょうけれど、
観る側はゆっくりと反芻します。
これまでの既成概念に収まらない
新しい芸術を目の当たりにしました。
今回の公演で「終わりが終わって、
始まりが始まり」ました。

【公演記録】


2020年11月15日快晴。初日を迎えた
新国立劇場にて、いつもの記念撮影は
楽しみすぎたのと、とにかくこの日に
漕ぎ着けたことの嬉しさで手が震えました。ここに来て急な感染拡大で出かけること自体にも緊張感があったのかも知れません。

そして、今日は特別に、これ以上ないと豪語できる席を取っていました。2階最前列ど真ん中です。実際、私のために上演してくれてる、と思いっきり勘違いできる席でした。緊張の原因はそれかも?笑

世界中が注目の作曲家、藤倉大さんの新作オペラが様々な制約が強いられる中、フルな状態で世界初演されました。客席から眺める分にはなんら違和感ない想像を超えるスペクタクル。今まで体験したことのない舞台作品を、演じる側・観せる側と共に駆け抜けた100分間。

初日カーテンコールの藤倉さん

 

 


ここからは、率直な感想です。
紗幕に投影された、その場面を象徴する
映像と、実際に演じる方々の姿が混ざり
一つの画を作っている究極の立体作品。
ドミソには定まらない調を行ったり来たりする旋律が空間と時間の天と地を浮遊する。心理状態などはオーケストラの旋律も歌っている。確実な音程と音量によるソリストの皆さんの歌が物語を語る。
ミラーボールが劇場の隅々まで光を放ち、シュプレッヒコール、ミサイル、銃声、など耳を塞ぎたくなる音の素材も。美しいオーケストラの響き。合唱団のチカラ。
切れ目ない舞台転換とそのリズム、スピード。それを叶える充分な舞台機構。
演出で多用された鏡に映る劇場オペラ監督の大野和士さんの指揮姿。海辺のシーンでは、オーシャンドラム(波の音を奏でる打楽器)を実際に奏するところが見えたり。
兵士役のボーイソプラノの旋律に寄り添うフルートの音色。一糸乱れぬ兵士たち。
全ての混沌が一瞬に澄み渡るラストの
一声。
…と、1日経った今、思い出したことを
綴りました。書ききれない、まだまだじわじわ出てきます。

個人的にはこれが思い浮かぶシーンもあり。デヴィッド・リンチの世界。

演出は初来日だという、リディア・シュタイアーさん。とても美しく聡明そうな方。

知人が、たまたま昨年暮れにドイツ旅行の折に偶然立ち寄ったケルン歌劇場での「カルメン」の舞台演出に衝撃を受け、そのリディアさんの演出だから、ということで観にこられていて、「頭の良さ」「聡明さ」を語っておられました。まさに、その通りだと思います。そして、リディアさんはカーテンコールでも控えめになさっていて、歌手を立てられていました。

歌詞は英語で、私は字幕に頼ることになります。ちなみに、字幕も藤倉さんや、台本作家のハリー・ロスさんをはじめ、専門の方の余念ないチェックがなされています。
(なんじゃこれ?という訳は一つもありませんでした)

音響は、確信はありませんが、マイクを使用しているように聞こえました。オペラだから絶対生声!と、叫ぶつもりはないです。ただ、来場した方々の中にはそう思われる人もいたかも知れません。

さらに大胆すぎる感想かも知れませんが、これを「音楽劇」で観たい、と思いました。日本語歌詞で、イメージとしては、レ・ミゼラブル、ミス・サイゴン、サンセット大通り…かつてウエストエンドでミュージカルを見まくった時の感覚が蘇ってきました。歌詞も日本語なら初めてでも字幕との行ったり来たりをしないで済み、ストレートに入ってくる。

わかりやすいレポートはこちら。


↑初日が済んでレビューがあちこちからではじめました。原作本も注文しても納期がかかるというし、図書館にもない。新作なので事前には読めるリブレットもありません。もちろん音源もなし。楽譜もない。劇場が配信してくれていた、お稽古風景の写真や、対談やオペラトークでの予習では余りあるスケールの大きな作品で、難解でした。

たまたま、共感するブログを見つけたので貼ります。
「音楽好きのスズキ」さまのブログ オペラ『アルマゲドンの夢』のオペラトークを視聴した…新作オペラが苦手なわたしの儚い夢


さらに大胆なことを言えば、オペラ版のほかにミュージカル版があれば、こちらには
エレキギター🎸とかドラムスなどをいれたヴァージョンの音楽になったりして、なんて勝手に想像。本当に妄想。

あと…劇場入口に「演出に強い光などがあるのでご注意下さい」といった主旨の
張り紙があったような気がします。
(そのくらい記憶曖昧)知人は1階中央の
良席でご覧になっていましたが、刺激が強すぎてめまいを起こしそうだったといっていました。(大丈夫でした)映し出される映像もなかなかショッキングなものがあり、怖がりな人は泣き出すかもしれません。そのあたりのインフォメーションやアナウンス(「演出上、刺激の強いところがあります。あらかじめご了承ください」みたいな)があってもよかったかなあと思いました。
末筆となりましたが、このような社会情勢のなかで、強い思いで上演の「指揮」も執られた監督の大野和士マエストロに、心から感謝と敬意を表します。
(公演記録)


昨日開幕した日生劇場の「ルチア」。
ルチアあるいはある花嫁の悲劇


昨日の様子。二期会21様Twitterより。

 

 

美しい舞台のようです。
「オケと指揮はよかったけれど、一人しか出ないから演出不満」という感想の方がおられました。感じ方はそれぞれですし、新しいことをすれば抵抗もある。このご時勢にとにかく無事開幕して、この方もいらっしゃれたことだけでも充分に称賛に値するのでは。舞台ができる、ということが、どれほどありがたいことなのかを、今年多くの方々が実感したはずです。数知れない人々の努力による文化芸術と経済の灯火を絶やさぬ尽力に、敬意と称賛をと思うのです。消してしまったら元も子もない。

オーケストラも含め実際に舞台で演じる方々や裏方の方々はもちろん、そもそもの制作スタッフをはじめ、この日に向けて宣伝したり、物を調達した方々、あと念入りに会場の準備をする劇場スタッフの方々など、どれほどの人が関わってことか。私が日頃よく言うことで、舞台にも映画のようなエンドロールがあったら、一つの舞台も相当な人々の名前が連なることと思います。

そしてお客様は神様、ではなく、
お客様「も」神様。行くのも大変な
世の中です。私自身「お金と時間を使っている」ことをこれほど実感するとは思ってもみませんでした。劇場には徒歩5分で来る人、飛行機で来て前泊までしてる人、見た目ではわかりません。様々な人が客席に集まります。そして、客席に人がいて、
空間と時間の共有こそが公演の真髄とすれば、客席の人々は傍観者でなく参加者といえましょう。
(NHKのTwitterから拝借)

チコちゃんも劇場に行ったらしい!!
5さいなのにえらいな。

さて冒頭の感想を投稿された方、
「よかったです〜」でも済むところ、
あえて否定するのは舞台や芸術に
対する愛と勇気を感じます。
無関心が、いちばんつまらない。

今日、新国立劇場でも新作オペラの