昨日のN響 Music Tomorrow2019
(東京オペラシティ 2019.5.28)
前半、N響委嘱作品世界初演の
薮田翔一氏の 祈りの歌(2019)からは
端正な楽譜が思い浮かぶよう。
しぼりたての果汁のような新鮮さ、
透明感に溢れ、全7曲はフルオーケストラのほか、様々な編成で深い想いと共に
あたかも次々と供される料理のような、
目からも美しさを感じました。
続く、藤倉大氏の尾高賞受賞作品
Glorious Clouds for Orchestra(2016/17)は、最初の一拍で、「世界の藤倉」と
身震いを感じるインパクト。その後も
沢山の音に溢れ、一気に藤倉ワールドに。美しい響きしかないのです。
しかも常に前向き。
この2曲とも、美しい音が細胞にじわじわと浸透してくるような感覚でした。そして、最後の一音が終わると、
その先に残響が、ホールも楽器となって、客席に音を降り注いでいました。
まるで急須の最後の一滴のような醍醐味です。この残響のために、これまでの演奏時間があったと言っても過言ではないと思えた1秒あまり。
客席には、無粋に拍手する人もおらず、
むしろすぐには拍手が起こらない
格別な集中力を持って、初演を見届けていました。いうまでもなく、次の瞬間、奏者と作曲家に割れんばかりの拍手が贈られました。
やはり音楽は、作り手、弾き手、聴き手があって無限に拡がるものなのですね。
そしてホールも重要な立役者のひとつ。
後半まで、穏やかで豊かな空気が
タケミツメモリアルの三角屋根まで
満ち溢れた一夜でした。
音楽に「明日」はあるのか。
私は、演奏には(物理的に)明日はない、と考えています。演奏は常に、今と過去の繰り返し。今、発せらせた音は次の瞬間すぐ過去に。録音録画すれば再度聞くことができる世の中とはいえ、その大原則は変わりません。しかし、意志や思いは「明日」という未来のトビラを開いていきます。
前半にご登場のお二方は、日本が誇る
「いま」明日という未来に最も近い
ところにおられる音楽家。
これがまさに「音楽の明日」を
生み続ける創造者。
そしてこのようなコンサートの企画が
「明日」につながっています。
放送予定があります。


