久々の衝撃を受けた舞台、『PLUTO』。
作品の内容も書こうと思ったんやけど、
テーマが深すぎて、自分の中で整理がつかん
感じなんで、大阪を観てからにしやす
ので、太鳳ちゃん以外の演者の方々の感想を。
この『PLUTO』というお話。
『鉄腕アトム』の《地上最大のロボット》と
いうお話を、漫画家浦沢直樹さんが登場人物
のゲジヒトを際立たせリメイクされたもので。
プログラムを読むと、漫画『PLUTO』は
物語の主題、設定などほぼ手塚治虫さんの原作
からブレとらんと書かれとるのを見ると、
手塚作品の底知れない深さを知り、改めて凄い
人やったんやなぁ、手塚先生
となりや
した。
そんな世界を、シディ・ラルビ・シェルカウイさん
という、これまた凄い方が演出されとる訳で。
6人の俳優陣と9人のダンサー陣が一体となって
舞台を作りあげていく様が、今まで観た舞台で
は見たことがなく、単純にスゴいな
と感じ
やした。
まず特筆すべきは、ダンサー陣の方々の動き。
とにかく、いろんなことされとって。
アトム、ゲジヒト、ウラン、ヘレナがロボット
であることを、《マニュピレイト》という動き
で表現。
手の動き、目線の動き、体の動きなどを3~4人の
マニュピレイターが指示することで、動かされ
てる感が上手く表現されとって、あぁ、ロボット
なんやなとすぐにわかる。
それだけじゃなく小型のロボットや地上最大の
ロボットである《プルートゥ》や殺人ロボット
《ブラウ1589》をマニュピレイトしてみたり。
そうかと思えば、大道具さんのように(笑)、
マンガの《コマ》の形(上の写真でキャストが
持っとる枠の形に似せたモノ)のステップパネルという
かなり大きいパネルを動かしてセットを作って
みたり、テーブルや壁を作ってみたり…。
(これ、凄い軽い感じでやっとったけど、かなり
大変やと思いやす
)
そうかと思えば、本業のダンスで凄い動きを
見せてくれたりもして、ダンサーさん無しでは
この作品は成り立たないほどの活躍ぶりで。
それだけに、俳優陣とのコミュニケーションも
必要やろうと安易に想像出来るんで、今まで
見た作品とは違った一体感を、感じたんやと
思いやす
しかし、このダンサー陣、凄い軽い身のこなし
なもんで、どの動きにも無駄がなく、全然重さ
を感じさせんで、動いている音も出ん。
結果、芝居の邪魔にもならんっていうとこが、
凄いなと



と、ダンサー陣をアツく語ってしまいやしたが、
俳優陣の感想へ。
まずは、アトムの未來くん。
天馬博士の亡くなった息子の代わりとして作ら
れたが、欠陥だらけやったトビオと違い、完璧
過ぎたアトムは失敗作として捨てられ、お茶の
水博士に育てられるという経緯を再確認。
お茶の水博士に作られたウランと兄妹として
愛情を受けて育ち、人間の子供の兄妹みたく
ケンカしてみたかと思えば、完璧で優秀な
ロボットである為物分かりが良く、捨てられた
過去があるからか妙に大人びている感じのする
アトムを絶妙に演じとったと思いやす。
身のこなしは言うまでもなく、凄い
凄いなぁと思ったんは、アトムが飛ぶ様。
ダンサーさんが2人で抱えていくんやけど、
まぁホントに自力で飛んでいるかのように体が
動きやせん。
他の動きも難なく見せとりますが、凄いことやと
圧巻はゲジヒト亡き後、プルートゥを消滅させ
る為に、反陽子爆弾として天馬博士に2度目の
生を受けた後のアトム。
仲間達を殺され憎しみを感じていたゲジヒトの
メモリーチップを引き継いだ為に、復讐に蝕ま
れてしまい元のアトムとは変わってしまった
けど、いろんな人の想いや本来の自分の感情を
取り戻し、本来のアトムとしての解決を模索して
いくまでの、一連の流れ。
心の動き何かもすごく伝わってきて、ホントに
凄かった


で、ゲジヒトの大東くん。
ユーロポールの刑事ロボットで、ゼロニウム合金の
ボディを持つ為無敵とされる。
原作だともう少し大人な設定のようなんで、若過ぎ
やしないかと(それは太鳳ちゃんしかり)危惧され
ていたようやけど、全然問題なかった。
冒頭のゲジヒトのシーンが、実は凄く重要なことが
後からわかるんで、ホントに油断の出来ん作品。(笑)
仲間であるアトムを含む高性能ロボットが次々に
殺されてしまう中で、感情を持たないはずの彼に
次第に芽生えていく「許せない」という憎しみ。
その想いは、実はもっと前から彼の中にあった
感情なのに、冒頭のシーンによって人間に故意に
消されてしまった記憶とともに消された感情でも
あって。
その葛藤に苦しむ様、そして、それを理解し受け
入れることで、その憎しみの連鎖を止めようとする
に至る感情の流れが、とても自然で良かった
この想いが、ゲジヒトのメモリーチップを引き継いだ
アトムの中にあることで、憎しみの連鎖を止める
ことにも繋がっていく訳なんで。
物語が事件を解決すべく動く、アトムとゲジヒトを
中心に描かれとるので、アトム亡き後ゲジヒトが
亡くなるまで結構な出突っ張りやし、ストーリー
テーラー的なことも担っとったりするんで、
大東くん、大変やったと思いやす
でも、凄く見応えがあって、素敵なゲジヒトさん
でやんした


お茶の水博士を演じられた吉見さん。
とてもチャーミングな博士を演じられとりまして
科学者として優れていることはもちろん、人間的
にもとても温かい人柄が滲み出とる、そんな博士
でやんした
そんな博士が作った最高傑作がウランちゃんで。
アトムの為に作った経緯もあり、ホントに二人を
愛情をもって可愛がって育てとる感じがあって、
見とってとてもほんわかしやした
復讐の為、アトム達を亡きものにしようと企む
アブラー博士を演じられた吹越さん。
客観的に見ると、善悪の“悪”を担っとる訳やけど、
彼側から見ると、アトム達が(と言うよりホントは
もっと先にいる悪に向けてやけど)“悪”になるって
いう“狂気の正義”を持って行動しとる人で。
祖国を想うあまり、息子をも犠牲にし、その復讐心
のみで突き進む“狂気”は凄まじかった。
吹越さんが持つ、クレバーな冷徹さがよりこの
キャラクターを引き立たせとる気がしやした
最後は、天馬博士を演じられた柄本さん。
自分の息子を事故で亡くし、行き場のない憤りや
悲しみを抱えたまま息子の代わりとしてアトムを
作り、より人間に近い完璧なロボットである
アトムを、人間的な間違いを起こさない失敗作と
して捨てた博士。
でも、そんなアトムが“PLUTO”にやられて
死んでしまった後、お茶の水博士の懇願に耳も
貸さず再生を拒むものの、ようやく息子の死を
受け入れ“悲しみ”に苛まれる。
その悲しみを感じ取ったウランとの会話、ゲジヒト
を亡くし、“悲しみ”の感情をもて余すヘレナとの
会話を通して、自己の悲しみを受け入れる様は
本当に見応えがありやした
アトムのアニメなんかで見る天馬博士はとても
冷徹な科学者というイメージやったけど、この
天馬博士は、柄本さんのもつ飄々とした雰囲気の中に
ある非情さや無力感みたいなものが伝わってきて、
ある意味とても人間らしかったんかな?とも
感じやした。
とても、バカ殿の爺やをやっとる人とは思えやせん。(笑)
流石です
と、本当に、皆さんスゴくて、観るべきところが
あり過ぎた舞台でやんした


ベースの作品を知っていると、より深くわかると
どなたかのツィートで聞いてはいたものの、原作を
読む暇もなく…と、ぶっつけ本番で観て。
あまりのクオリティの高さに度肝を抜かれ、
それだけでも十分に魅力的で刺激的な作品やと、
久々に尾を引いた舞台でやんした
今日、東京公演千秋楽。
休む間もなく、ヨーロッパ公演。
終わって、少しのインターバルを挟んで、最終
大阪公演。
ヨーロッパを経ての舞台がどんな風になっとるか、
こちらも少し原作の背景なんぞ確認しつつ、
3月の舞台、楽しみにしたいと思いやす
