「水道筋読本」(水道筋商店街共同組合2021年2月発行)を読む | MSIBATAの外大便り

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この度、水道筋商店街共同組合から発行された「商店街と市場のある暮らし水道筋読本」を垂水商店街にある流泉書房のご好意で入手が叶い、早速読んだ。

 

 

感想は後述するが、このコロナ渦、水道筋まではちょっと遠いなあという気持ちがあった。この読本のWEBサイトによれば、やがてWEBでも公開されると告知されていたので、それを待つつもりでもいた。

 

SNSでも話題になっていて、コラムを書かれた方の一人とツイッターでやり取りしていたところ、流泉書房の店長から「うちにありますよ」と声をかけて下さった。流泉書房にこの読本が来た経緯を聞いてみたら、王子公園駅近くある古書店「ワールドエンズ・ガーデン」の小沢さんから話があったようだ。わたくし、小沢さんには新聞社系列の版元の郷土史の本をたくさん持っていて、それを高値で購入してもらっていたのだった。いろいろとご縁を感じる読本ではある。

 

 

この読本の発行を遡ること約10年、水道筋の歴史や商店の魅力などを紹介する「水道筋練習帳」の初版が2010年3月に、バージョンアップしたものが2011年12月に発行された。その後も(手元にはない)「水道筋おでかけ練習帳」も発行されたらしい。

 

そして今回、満を持して「水道筋読本」の登場というわけである。

この読本の「はじめに」から引用する。

 

『水道筋読本』は100年あまりの歴史を持つこの街に住んでいる人、住んでいた人、通ってくる人、それぞれに愛着と思い出を持つ20人の書き手によるコラムと3人のインタビューで構成されています。また、編集スタッフやカメラマンも水道筋に関わりのある人ばかりです。

この本を読んで、商店街と市場のある水道筋の暮らし、店や人びとのこと、街の空気や居心地の良さが伝われば、とてもうれしいです。

 

152ページもあるこの本を一気に読みました。どのコラムの文章からも一言でいえば「街、店、人に対するやさしい眼差しと愛がある」ということに尽きる。そして、できることなら個人商店で買い物をしたり飲食しようではないか、それがわたくしの感想に他ならない。

 

さて、わたくしと水道筋との関わりはどうなんだろう。さしずめ「はじめ」に出てくる「通ってくる人」であろうか。

 

震災前になるが、阪急六甲で事務所を借りて仕事をしていた私の昼ごはんは、当然のことながら阪急六甲界隈の飲食店ということになる。みやま(ほかにも)に大変お世話になった。

 

もう一軒、お世話になったのが水道筋にあった「千疋屋」である。半円形の暖簾が洋食屋らしかった。初代は確か郵船のコックで、船を下りてから店を開いたと聞いたことがある。息子さんと店を切り盛りしていた。ボルシチが出ることもあった。だが値段は安く400円くらいだったと記憶する。これなら私でも電車に乗っても通える金額だった。震災で店は壊れ、その後、倉石通に移転した。息子さんは病に倒れ、現在は息子さんの奥さんが継いでいるようだ。

 

その後、垂水に転居して水道筋は遠くなった。本業は芳しくなく、コンピュータ書籍のライターも兼業。やがて神戸の下町の飲食店を取材するようになって水道筋に足を運ぶことも増えたのだった。

 

この読本のコラムに登場する店と重なるところもあれば、そうでないところもある。廃業したところもあるが、お世話になった店を列挙してみると、千疋屋、神戸一番、大阪王将、あかちゃ家、一燈園、とんかつ大将、スタンドバーモンクなどなど。

 

友人の夕刊フジのライター氏に同行して初めて灘温泉に浸かったのも懐かしい。7年前のその記事がまだ残っていた→こちら

 

コロナが終息すれば、ごぶさたしている店に、また寄ってみたいなあとこの読本を読んで思うこの頃である。