乃木坂にある国立新美術館でサルバドール・ダリの作品の企画展が行われている。来月で終わってしまうので気にはしていたが、ようやく観にいくことができた。

ダリが美術学校に入る少し前から、晩年までの作品が年代ごとに多数展示されていて、なかなか興味深いものだった。

私は美術通というわけではなく、したがいシュールリアリズムがどういうものかとか、その前に現れたキュービズムの作品をわかっているわけではない。

けれども、ダリの絵は奇抜なだけではなく、人間の深層心理に潜んでいるものを取り出して形にして見せてくれているようで、作品を眺めているとなんとも言えない気持ちになる。

美術の愛好家に叱られそうだが、たとえば、つげ義春の描いたマンガも、そういう性格がある。

つげの作品が不条理で、しばしば陰鬱な雰囲気をもつのにくらべるとダリには地中海の明るさを感じるところは大いに異なるのだが。
 
この展示会では絵画だけではなく、映像作品も展示されており、少なからず驚きもあった。
 
ヒッチコックの名作「白い恐怖」には、フロイト流の夢分析のシーンがあり、いかにもダリ風の映像なのだが、実際にダリとヒッチコックのコラボレーションとは知らなかった。

また、ディズニーとコラボしたアニメーションの美しい作品と、有名だが観たことがなかった「アンダルシアの犬」も上映されていた。

二時間くらいかけて鑑賞したが、脳みそがいっぱいいっぱいになってしまった。