そういえば、最近万葉集を取り上げていませんでした。
「梅雨」の歌はあるだろうかと探しましたが、見つかりません。
よくよく調べると、あの頃の日本に雨が少なかったわけではなく、
「梅雨」という言葉がなかったのだと知りました。
梅雨という言葉は中国が起源で、日本に伝わったのは江戸時代だそうです。
それで、万葉集には雨の歌はたくさんあるのですが、
梅雨という言葉が出てこないのです。
雨や水に関する歌をいくつか見比べていて、これが気に入りました。
天の海に 雲の波立ち
月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
【 柿本人麻呂 】
大空の海に雲の波がたって、
月の船が、きらめく星の林の中に漕ぎ隠れてゆく。
雲や星、月など、空にあるものを地上のものに例えた、
とても美しい内容なのですが、
かなり中国的な表現を取り入れているそうです。
あの頃、日本にとって先進国だった中国のようになりたいと、
いっしょうけんめい真似をしているわけです。
現代日本も、欧米の真似をして頑張っています。
今も昔も同じようなものですね。
この歌の作者・柿本人麻呂は、山部赤人とともに「歌聖」と呼ばれ、
きわめてすぐれた歌人として、たたえられています。
その彼は、別の歌で、雨のことを天つ水と言っています。
それは長歌で、ちょっと載せられないので、
それで代わりに「天の海~」の歌を持ってきました。
空の上にたたえられている神聖な水、
天つ水とは、そのような意味だそうです。
なんだかとても素敵なので、
この記事のタイトルにしようと思ったのです。
