着物の中で「江戸小紋」というのがあります。
ドット柄のような模様のが一面にある着物です。
あまりにも細かいので遠目には無地のように見えるこの柄は、
武士の裃(かみしも)の模様が発祥の、実に由緒あるものです。
江戸時代、参勤交代で各藩が江戸に集まったとき、他の藩と区別するために藩ごとに「定め柄」を決めました。
お写真は、家にある風呂敷です。誰でも一度くらいは見たことがあるこの柄が、
鮫(さめ)と呼ばれる、紀州徳川家の定め柄です。
江戸時代、奢侈禁止令(ぜいたく禁止令)が度々発令され、美しい色や大きな柄が禁止されました。
そのためまるで無地のように見える、気の遠くなるような細かな柄が生まれました。
江戸中期になると庶民の間にも小紋染めの着物が流行りだし、
武士の裃から生まれた「定め柄」だけでなく、動植物や日用品を図案化したさまざまな文様が生まれます。
一昨日、着付け教室に呉服屋さんが来ていたとき、紺色の鮫の反物を羽織らせてもらって、
自分の着物を買う時が来たら、まずこれを選ぼうと思いました。
柄が細かいほど格が高くなるそうですが、そんなに細かくないもの(お値段がほどほどのもの)でも、
十分すぎるほど日本の伝統の重みを感じることができると思います。
