多摩川上流・御岳渓谷の遊歩道の木陰に、小さな蛾がいました。
金色の米粒のようなものがあると思って写真を撮った直後に、翅を広げて飛んで行ってしまいました。
家に帰ってから調べたところ、キシタホソバという蛾だとわかりました。
体長27-36mmと、とてもとても小さく、幼虫は地衣類を食べて育ちます。
とまっていると地味ですが、黄金色の翅を広げて飛ぶ姿はキラキラと神々しく、
この世のものではないように見えました。
こんなに小さくても、翅を持っていて飛べるのだからたいしたものですね。
昆虫は地球上で最も繁栄している生き物ですが、
それは、翅を持って空を飛べる能力を獲得したのが大きな要因だと言われています。
地球上に昆虫が現れた約4億8000万年前、まだ翅はありませんでした。
カゲロウやトンボなどの、翅を持つものが現れたのが約4億年前のことです。
植物もシダ類などの原始的な姿ものしかなかった頃、昆虫たちはすでに翅を獲得して空を飛んでいました。
昆虫は藻類などと共に、陸上で最初の生態系を作り出した生物の一つとされています。
空を飛ぶ生き物と言えば、他に鳥類が挙げられます。
鳥の羽は前足が変化してできたものですが、
昆虫の翅は、背中にできた突起物のようなもので、
短期間で急速に進化してできたのだそうです。
鳥は前足が羽になったことで四足歩行ができなくなりましたが、
昆虫の翅は背中にはえてきたものなので、前足が残っていて歩行が達者な種類が多いです。
人間の場合は前足が「手」になったわけです。四足歩行ができなくなったかわりに知能を獲得して、
地球上で繁栄することができました。
比べてみると、身体的に最も優れているのは昆虫だということがわかります。
昆虫は幼虫のときには翅を持っておらず、成虫になるときに「変態」という、劇的な変化によって翅を獲得するのです。
我々人間が、もしも背中に羽が生えて飛ぶことができるようになったら、
感動で震えがとまらなくなり、頭がどうかしてしまうかもしれません。
こんな小さな昆虫が、そんなドラマチックな生涯を生きているです。たかが昆虫と、侮れません。
