セミの中、是非ともとりあげておきたいのがクマゼミです。
クマゼミは、温暖な南側の地域に住む、日本特産のセミです。
九州や沖縄などではおなじみだそうですが、関東地方より北ではなかなかお目にかかれません。
お写真は、フリーのサイトからもらってきました。
翅端までが60-65mmとアブラゼミよりも大きく、頭部の横幅が広く、いかつい感じですが、
翅は透きとおっていてグリーンのラインが美しい、
他の種類と違う雰囲気を持った、とても魅力的なセミです。
鳴き声は、「シャンシャンシャン・・・」とも「センセンセン・・・」とも表されます。
この声が、人間の可聴領域のなかでも最もよく聞こえる範囲だそうです。
知っている範囲では、セミの中で最もうるさい鳴き声を発するのは、このクマゼミだと思います。
1匹だけでもすぐそばの頭上で鳴かれるとこちらの頭まで振動しそうなくらいだし、
集団で大合唱されると、かなり離れた場所からでもうるさいです。
調べたところによると、
おなじみのミンミンゼミは、クマゼミとほぼ同じ音をベースに鳴くそうです。
「ミーンミーン」と「シャンシャンシャン」ではずいぶん違いますが、
ミンミンゼミを高速回転で鳴かせると、クマゼミの「シャンシャンシャン」になる。
これにより、クマゼミとミンミンゼミは棲み分けをしていると言われています。
両方とも午前中に鳴く性質を持っているので、クマゼミが鳴き終わったらミンミンゼミが鳴く、
というように、両方一緒に鳴くことのないようになっているのです。
セミにとって鳴き声は、オスがメスを呼び寄せるためのものですから、
それが他の種類の鳴き声とごっちゃになってメスに届かなくなるのは、
クマゼミにも、ミンミンゼミにも、死活問題です。
だから、お互いのために譲り合って鳴く、
これが、地球上の生き物たちが、互いのために競争を回避しながら共存する、
「棲み分け」という現象です。
「優れたものが生き残って子孫を残し、そうでないものは淘汰される」という、
弱肉強食を唱えたダーウィンの進化論に対し、
「できる限り無駄な闘争を避けて、種族維持の万全を図るというのが変わらぬ自然の原理・原則」
という棲み分け理論は、今西錦司という日本の生態学者によって提唱されました。
同じ周波数帯で同時に声を張り上げ合っても、相手の声を完全にかき消すことはできません。
セミたちは、
「競争しても仕方がない」
ということを本能的によく知っているのでしょう。賢いですね。
