カーボンナノチューブ(CNT)水素吸蔵 ― 陳腐化する最先端技術開発シリーズ(2)― | ナノテクブラックジャックのブログ

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 ナノテクが期待される以前の1996年から、日本復興の期待を背をっていた2000年代前半、期待が薄れてしまった2008年までの13年間を最前線で見て参りました。

 そんな私が考えていること、身の回りで起こっていること等を書き綴ります。

・カーボンナノチューブ(CNT)水素吸蔵

陳腐化する最先端技術開発シリーズ(2)―


 1997年、米国エネルギー省の科学者が、水素エネルギー社会を実現可能にする夢の水素吸蔵材料に関する研究成果を世界で最も権威ある科学雑誌Natureに発表した。

 彼らは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)5-10wt%もの水素を吸蔵する可能性を示している。

 車載用水素吸蔵材料の目標が6.5wt%であった。

 この論文が正しければ燃料電池自動車の実用化が可能になる。

 この論文は世界中の研究者に注目され、ナノカーボンの水素吸蔵に関する研究開発がブームなった。

 それから数年間、世界中の研究所から、驚くほど水素を吸蔵するナノカーボンの開発に関する発表がなされては、否定されるということが繰り返された。

 時が経つに伴い次第に否定派が多くなっていった。

 そして、2005年以降にはナノカーボン水素吸蔵は期待されなくなってしまった。

 ところで、1997年に発表された論文には、次のようなことが明記されていた。

「サンプル中に含まれるSWCNTの純度は1-2%。サンプルが吸蔵した水素は、全てSWCNTが吸蔵したと仮定する。」

 当時は、低純度のSWCNTしか作製できず、有効な精製技術もなかった。

そして、サンプル中に98-99%含まれている不純物の中には水素を吸蔵する触媒金属が含まれていた。

 後にSWCNTの作製技術や精製技術が発達し、高純度なSWCNTで実験が行えるようになったのであるが、論文の正当性を支持する結果は得られなかった。



 編集後記

 最先端技術開発でよくある「痘痕も笑窪(あばたもえくぼ)」の代表的な事例です。

 都合の悪いことは見えなくなっているのです。

しかも、権威ある組織に所属する研究者が権威ある雑誌に発表しているのですからその影響は絶大です。


 実は私(ナノテクブラックジャック)もCNT水素吸蔵に携わりました。

 2件の関連特許を出願していますが、今となっては研究生活最大の汚点です。

 2年間携わった本関連研究で得られた最大の収穫は、「1500万円も支払って購入した水素吸蔵自動測定装置で測定した結果は信用できなかった」というものでした。



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