数ヶ月前に中途入社してきたHさん。
企画の部署に配属された彼女は、
その清楚なルックスとお嬢様っぽい出で立ちから、男性社員の注目を集めている。
愛称は、下の名前からとって、さっちゃん。
僕もさっちゃんのいちファンとして周囲にアピールし、
仕事で絡む際には、それは丁寧な対応を心がけていた。
先日、開発関係の部署が全て集まる会議があり、
そのあと懇親会ということで立食パーティーが開催された。
最初はカンパイしたビールを片手に近くにいた人たちと談笑するも、
料理周辺の人ごみが少なくなってきたのを見計らって、食べ物をとりに行った。
こういう立食系って、しっかり食べるよう気をつけないと、ついつい飲んでばっかりになってしまう。
すきっ腹に酒を入れていくので酔いやすくなるのだ。
料理を皿に盛っていると、テーブルの反対側に唐揚げを見つけた。
でも取りバシがあっち側を向いていて手が届かない。
「唐揚げ遠いなあ…」などとぶつぶつ言っていると、
「コレ使って取ったらどうですか」と、隣からフォークが差し出された。
スパゲッティを取るためのフォークをすすめてくれてるのが、そのさっちゃん。
「突き刺したらとりやすいでしょ。」と、さっちゃん。
「あ、どうも」とそのフォークを借りる。
唐揚げにフォークを突き刺すと、皿に置きなおすのが難しいので、そうはせずにすくい取った。
ここは流れとして、彼女のグラスにビールを注ぎいれ、返杯。
折角だし、しばらく話をしようかしらん。
さっきの会議中に、さっちゃんが外語大出だという話が出ていたので、どこなのか聞いてみる。
この近くの大学らしい。
で、専攻は。
国際なんたらかんたら。2ヶ国語だとか。
何と何?
英語とイタリア語。
あらら。
どうもイタリアへは何度も行ったことがあり、長期滞在もしているらしい。
というわけで、自分も来月行くということを話し、現地のオススメを聞いてみる。
ローマならバチカンがいいとのこと。
コロッセオとかトレビの泉とかじゃなくてだ。
なるほど。
じゃあローマの滞在は限られることだし、バチカンに絞って回ろう。
さっちゃんが言うなら間違いない。
そっからあとは、
今海外ドラマを英語字幕で見ながら勉強してるとか、
それはLOSTを観てるんだとか。
そんな共通点も多かったのでひたすらにしゃべり続けた。
仕事中はわりとクールで物静かなさっちゃんが、こんなに自分からしゃべりまくるなんて意外だ。
しかし、今は社内の懇親会中であって、合コンではない。
男女2人で話こんでるのは僕らだけなことに気付いていたので、
タイミングを見計らって他の輪に紛れ込んでいった。
飲み物を変えたついでに、自部署の同期のところに行く。
同期は開口一番、「さっちゃんとらぶらぶだったね」とおっしゃる。
あらら見られてましたか。
「みんなで、あそこの2人気持ち悪い。って言ってたよ。」
気持ち悪いとは失敬な。
ついついそうなってしまった言い分も聞いてくださいな。
まあ、とにかく、意外なところにイタリアフリークがいて、
それが現時点のアイドル的存在で、
イタリアいくなら香り系のお土産が欲しい、というとこまで接近できたのは良しとしよう。
そんで、バチカン詳しく調べておこう。