Cultural Change | 咲花正弥 オフィシャルブログ 「Masaya Sakihana」 Powered by Ameba

Cultural Change

ワールドカップやユーロ、ゴールドカップ等、大きな大会でどういうトーナメント・マネジメントをするだろうか。先日のコスタリカ戦を観たり、その後コーチングスタッフとディスカッションしているときに考えさせられた。

グループリーグの2試合を終えて、2勝で勝ち点6。決勝トーナメントに進出が決まっている。
極端に言えば、負けても引き分けでも準々決勝に出られることは分かっているのだが、そこで引き分けをよしとして試合に臨むのか、それとも勝ちにいくのか、監督やコーチによって大きく意見が分かれるところだろう。

これまでのアメリカ代表のカルチャーから言えば、「引き分けで良し」。
しかし今の監督は違う。「勝ちにいく」。「どんな勝負でも勝ちにいく」という。
ドイツ代表の監督をしていたときにも、保守的なドイツの考え方を真っ向から否定し、敢えて勝ちにいくという采配に、ドイツ国内からは批判も多かった。現に歴代ドイツ代表監督の戦績を見てみると、敗戦数が多いことに気づく。

ドイツの様に技術・戦術レベルが高ければ、引き分けや負けない試合運びをすることは割と楽にできるだろう。残念ながら現在のアメリカ代表は、以前からの引いて守ってカウンター・アタックというスタイルの呪縛から完全に解き放たれておらず、先制するとバックラインはどんどんと下がり始めて、中盤に穴が開き、相手が割と自由にボールをポゼッションし始めることがしばしばある。

それを今の監督はどうしても変えたいのだ。

先日のコスタリカ戦では、後半の30分過ぎまで0-0の均衡が破れずにいた。アシスタントコーチの中にはディフェンシブ・ミッドフィルーダーの交代と守備的なアウトサイド・ミッドフィルダーを投入して、より守備的にし、引き分けに持ち込もう、という声もあったが、監督はどうしても勝ちたいという。最終的にはトップ、両サイドのアウトサイドのミッドフィルダーをより攻撃的な選手に変えるという手を打った。これは選手達に対して、より前がかりになって攻めろ、という強い強いメッセージだ。

その交代があった5分後に交代した選手が2人絡んで先制。それが決勝点となった。

その決勝点の直前にはセットプレーからピンチがあり、そこからのカウンターで一点をもぎ取ったのだが、もしセットプレーから失点していれば、交代は全く意味が無く敗因となる。あとで聞くと、「勝負とはそんなものだ」と。つまり交代が上手く機能せずに負けたのであれば、それはそれで仕方ないこと。ここで大切なのは、「勝ちにいく!」というこれまでアメリカ代表のカルチャーとは全く反対のことを実践することだという。

選手の中、コーチングスタッフの中でも、まだ考え方が二分しているところがある。
このカルチャー・チェンジとも言える、采配やトーナメントマネジメントが徐々にチームに染み込んでいくことを監督は狙っている。