若年患者さんで卵巣の充実性腫瘍があり卵巣硬化性間質性腫瘍(以下SST:Sclerosing Stromal Tumor)が疑われた症例を経験しまisた。初めて遭遇した疾患であったためエッセンスについて調べました。

 

卵巣硬化性間質性腫

  • 1973年に初めて報告され、腫瘍概念が確立されました。
  • WHO分類及び卵巣腫瘍取り扱い規約では、良性の性索問質性腫瘍として分類されています。
  • 性索間質性腫瘍は原発性卵巣腫瘍の約8%を占め、SSTは性索間質性腫瘍の2~6%程度のため稀な疾患です。
  • 発生年齢が比較的低く、20~30歳台に好発します
  • 通常片側性でサイズは10cm程度までが多いです。
  • 症状は月経不順や骨盤痛の訴えが多いです。Meigs症候群(腫瘍の摘出によりよって改善する腹水や胸水の貯留)を呈することもあります。
  • 通常内分泌学的異常は示さず、腫瘍マーカーも正常なことが多いです。
  • 画像上悪性腫瘍との鑑別が難しく、開腹手術や 付属器全摘が選択される報告が多いです。
  • MRI画像の特徴としては、結節部の豊富な血管による早期の増強効果、種々の程度の線維化による遷延性の増強効果、腫瘍内間質の浮腫性変化を反映するT2高信号 と漸増性の増強効果、腫瘍の辺縁に圧排された浮腫状の既存卵巣組織、などです。
  • 肉眼的には、割面で灰色~ 黄色調の結節成分と,著明な浮腫やあるいは嚢胞性変化を伴います。
  • 病理学的には、細胞成分に富む領域と細胞密度が低い領域の介在による偽分葉構造及び鹿の角様と称される不規則に拡張した壁の薄い血管の増殖を特徴とします。
  • 免疫組織学的にはcalretinin, inhibin-α陽性で上皮性マーカーは陰性です。

 

 

 

参考文献

卵巣腫瘍取り扱い規約

画像診断 Vol.37 No.9 2017

日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 29(1): 74-78, 2013.