本日は私の苦手な膀胱子宮靭帯前層の処理の際に必要な尿管周囲の処理についてまとめました。

 

膀胱子宮靭帯前層と尿管の走行

広汎子宮全摘術や準広汎子宮全摘術では膣や傍膣組織まで摘出するため尿管を外側へよける処理が必要です。

尿管は膀胱子宮靭帯を貫いて膀胱に入ります(下図参照)

著者作

尿管を外側へよける必要がありますが、その際に膀胱子宮靭帯の前層を処理する必要があります。

膀胱子宮靭帯には動静脈血管があり、処理の際に出血をきたすことがありますが、尿管に近いため止血に難渋することもあり、難易度の高い手技といえます。

 

癒合筋膜の切開(脱膜化)

尿管は後腎由来の組織であり、子宮は中腎由来の臓器であるため本来は自然に分離することが可能ですが、発生の過程でこの部分は癒合し癒合筋膜が形成されています。(下図参照)

著者作

この癒合筋膜を切開することで尿管は子宮から分離されます。(脱膜化というようです)

著者作

 

この癒合筋膜は尿管の内側と外側の2箇所で存在するためそれぞれで処理する必要があります。

口で言うのは簡単ですが実際はなかなかうまくいきません。

修練あるのみです。

 

参考文献

解剖学的視点で解き明かす女性骨盤手術 金尾祐之