LEGH(分葉状内頸部腺過形成)

 

LEGHとは分葉状内頸部腺過形成のことでLobular Endocervical Glandular Hyperplasiaの略です。

今回LEGHに対して子宮全摘術を行う症例を担当したのでLEGHについてまとめました。

 

  • 子宮頸部の囊胞性病変のほとんどはナボット嚢胞など良性のものがほとんどですが、囊胞が密に集簇している場合LEGHとの鑑別が必要となります。
  • LEGHは悪性腺腫と鑑別が必要な良性の子宮頸部囊胞性病変として1999 年にNucchi らによってはじめて報告されました。
  • LEGH は組織学的には粘液の豊富な高円柱上皮からなる腺管が分葉状に増生し,胃幽門腺に類似した構造を示すのが特徴とされます
  • LEGHは上皮内腺がん(adenocarcinoma in situ:AIS)や胃型粘液腺がんおよび最小偏倚腺がんと併存する報告が多く、それらの前癌病変である可能性があるため慎重な対応が必要です。
  • MRIではT2強調像で周辺に比較的大型の囊胞が存在し、中心部に頸部間質より高信号を 呈する小囊胞と造影で増強される充実部分が認 められます。これらの所見がコスモスの花びらのようであることからコスモスパターンと呼ばれています。
  • LEGHの悪性化は1-2%と報告されています。
  • 確立された治療法はありませんが、細胞診・MRI所見・胃型ムチン検査をくみあわせて、ナボット嚢胞疑い・LEGH疑い・悪性腺腫疑いの3つにわけ、円錐切除や生検を組み合わせ、それぞれフォローアップ、単純子宮全摘、広汎子宮全摘を行う方法が提案されています。(J Obstet Gynaecol Res. 2022 Dec;48(12):3056-3067.)
  • 悪性化を特定するマーカーはないため、画像での病変の増大細胞診の悪化の2つのパラメータは悪性化の早期検知に有用な可能性があります。