黑世界 <雨下の章><日和の章> もちろんネタバレあり | うっかりBLOG

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好きなことだけ書いてますが、あくまでも個人的意見ですw

昨日からなんだかフワフワしています

幸せの感情だけじゃなくて思い出したくない負の感情も夢の中に出てきて

ぐちゃぐちゃにされてる感じです

 

今日が黑世界の大千穐楽でした

カーテンコールも5回ありました

 

大阪公演行ってよかったです

配信で見てたのとは違うところもあって、変わっていく舞台の醍醐味を感じられました

 

ということでネタバレありの各話説明と感想を書いていきます

 

<雨下の章>

①イデアの闖入者[作・末満健一]

リリーを見守る者シュカとの出会いの話です

不死者を追いかけるブラド機関に薬を盛られて繭期にトリップしていたリリーをシュカが助け出します

シュカは自分は守護者ではなくて見る者だと告げ、去っていきます

 

繭期の幻想が生み出した存在にチェリーと名付けるなど、これからの話のプロローグになっています

 

「守護者なり」って言うのかと思わせておいて言わないというところは、掴みもOKでしょう

 

ここからはリリーの諸国漫遊記のようになっていきます

 

②ついでいくもの、こえていくこと[作・宮沢龍生]

流された橋を修復するために呼ばれた石橋造りのホオヅキ親方とその一番弟子のシーメンの話

 

 

ようやくたどり着いた町の外れの小屋で休もうとするリリーは、そこにいた親方に追い出されそうになるが、疲れ果ててバタンキュー

 

翌日リリーは次の町に行きたいというが、橋が流されてしまって川は渡れないと聞かされる

そこから橋の完成までその町に滞在して、職人の飯作りなどやって手伝うことになる

 

昔はバンパイアハンターだったこともある親方は今では永遠に続くものを造りたいという思いがある

 

石橋が完成する前夜洪水が起こり、シーメンを助けて落石に巻き込まれる親方

重傷を負いながらシーメンと橋の心配をする親方

リリーは「橋は無事だった。明日町を出ていく」と嘘を付き、それを聞いて安心して親方は死んでいく

 

親方の死後、シーメンは親方のメモを見つける

自分にもしものことがあったときのために自分が師匠から学んだ技術、自分が身につけた技術をすべて書き記し、シーメンにここから先を託すメモでした

 

 

この話はマジで泣けました

 

永遠に続くものは石橋ではなくて、人の思いや残したものであり、それを受け継いでいく人だというのは、永遠を孤独に生きるリリーとの対比がありますね

 

ここのアドリブは毎回親方のプライベートを暴露するというものだったのですが、大阪千穐楽はホテル暮らしでネタがないので梅田に繰り出したけどやっぱりネタがなかったというものでしたw

 

 

③求めろ捧げろ待っていろ[作・中屋敷法仁]

奇作です

 

山の中でリリーは美しきバンパイアハンターライザン(雷山?)と彼のために自らを傷つけ吸血種を呼び寄せるマルグリットと出会った

 

ストーリーとか語る必要ないぐらい勢いとアドリブの嵐です

 

千穐楽ではマルグリット役の中尾ミエさんの「ナイフはどこ?」にあたふたするライザンとリリー、「暗いわ」に反応するライザンはおもしろかったです

 

ライザンの郷ひろみの「ジャパーン」を受けてのリリーの「ジャパーーン」に

「本当に君はいい子だな」とつぶやいたライザンはちょっと萌えました

 

 

④少女を映す鏡[作・末満健一]

見た目は75歳だが実際は15歳で5倍の速度で歳をとっていく繭期のアイダに鏡の中に閉じ込められるリリー

50年ぶりだというのに変わらない見た目で現れたシュカは助けようとするがリリーはそれを拒否する

 

人の心の姿が見えるという繭期の少年が町で見かけたアイダを好きになり屋敷に忍び込んで来るが、それを拒否するアイダ

繭期が終われば彼が見ているものは幻想で現実に気がつくことを恐れたのだ

 

 

中尾ミエさんのその前の話で狂気のマルグリットを演じた人とは思えない演技の幅広さは見事です

 

⑤馬車の日[作・降田天]

雨の中で馬車に助けられたリリーは、息子ヘーゼルをクランに連れて行くという婦人メープルと使用人シダーに出会う

何年か後にまた雨の中で同じ馬車に助けられるが、また同じ話をするメープルと前とは明らかに違うヘーゼル

ヘーゼルは途中で逃げ出そうとするがメープルに見つかり、メープルはいきなり「ヘーゼルじゃない」と叫びだし、ヘーゼルはシダーに射殺される

 

目撃したからとリリーも撃たれるが当然死なない

生き返ったリリーをヘーゼルだと言い出すメープルとシダーにリリーは屋敷に監禁される

 
 

メープル役の樹里咲穂さんの怪演が光る話です

「ヘーゼル」と呼びかけるだけなのにいろんな言い方を使い分けているのは流石です

 

 

監禁されて繭期がひどくなったリリーが広島弁になるのは確かこの話だったはず

(前の話でもリリー監禁さててちょっと記憶が曖昧)

仁義なき戦い広島死闘篇の北大路欣也は誰か仕込んだんでしょうね

 

 

⑥枯れゆくウル[作・末満健一]

シュカは元ブラド機関の人間で、捕らえられたリリーに対して本当に不死かどうか実験を行っていた
スノードロップの花を見て涙を流したリリーを見て彼女に感情があることに気づいて、彼女をブラド機関から逃がす
そして彼女を見ているためにリリーと一緒に押収されたウルを使って不老を得るが、100年経ちウルも尽きて、その生命を終える
 
この話でリリーが狂気に走ったソフィにはならないと誓っていることが分かります
これについては最後にもう少し書いておきます
 
ウルが切れて押し留めていた時間がやってくるというのはシルベチカでもありましたね
つまりクランのみんなはウルがなくなれば全員一気に歳を取って死んでしまうってことだったんですね
 
 
ここでの松岡さんと鞘師の歌の掛け合いは見事です
 
これがアップフロントなら絶対音源化してサントラ出してるでしょうが、そこは残念です
 

<日和の章>

①家族ごっこ[作・末満健一]

繭期の幻想の中で紫蘭と竜胆に攻め立てられるリリー
そんなリリーを見つけたのは妹ラッカと兄ノクの兄妹だった
そこから家族のような暮らしが始まるが血盟議会の派閥闘争に巻き込まれた父親を助けるためにリリーは力を使ってしまう
 
日和の章はこのラッカとノクの物語でもあります
 
朴さんの声の使い分けが見事すぎます
 
最初のシーンで紫蘭と竜胆の語りを男性陣が名乗りをあげて、MIOとYAEさんが割って入るという形なのですが、千穐楽ではずっと割って入らず歌まで歌いかけてギブアップするというアドリブ?でした
 
 

②青い薔薇の教会[作・葛木英]

妹を殺された神父の元にいる男はその妹を殺した吸血種だったが、神父はそれを許すと言う

だが実際は許せないが許そうとしているというジレンマの中にいる神父

男は神父が自分を罰してくれないことに苛立ち、ついに自分が神父の妹を殺した吸血種であることを村中に公表してしまう

 

罪と許しの話です

 

ここでリリーは自分がクランのみんなを殺したという罪を背負っているが、自分の死でそれを償うことができないから、自分は許されるはずがないという思いをさらけ出します

 

ここが同じように自分には非はないのにクラウスに不老不死にされてしまったソフィとの大きな違いです

 

ソフィは自責の念がないので自分の行動が狂気の沙汰であってもそれをクラウスの責任に転嫁してしまえるのですが、リリーには罪の意識があり、その罪を償うために死を望んでいます

この違いは大きいです


③静かな村の賑やかなふたり[作・岩井勇気]

どちらの章も第3話はどちらも面白話です

 

吸血種の伝説を面白おかしく語るベルナールとアドリーヌ

 

これは声量お化けも含めて見て楽しんでとしか言えませんw

 

ソーシャルディスタンスキッスを延々とやらせるアドリブは面白かったです

 

④血と記憶[作・末満健一] 

ブラド機関に鉱山に追い詰められるリリー
追い詰めているのは爆破大好きなバンパイアハンターとあれから20年経ちブラド機関に入ったラッカとノクだった
 
ラッカはあれからずっとリリーを探し求めていたのだ
ママと呼んでいたリリーにもう一度合うため
 
リリーはラッカのイニシアチブを取り自分の記憶を消してしまう
そのとき崩落でラッカは助かるが、リリーとノクは落石に押しつぶされてしまう
リリーは血液を媒体に蘇生を始めるが意識にノクが混じってしまう
ノクはラッカに記憶を戻してやってほしいと言い残して消えてしまう
 
 
蘇生する鞘師さんの体の動きが凄いです
他にも膝の力だけで起き上がったりとさり気なく凄いことやってます
 

⑤二本の鎖[作・来楽零] 

お互いのイニシアチブを握り合いお互いを縛りつけているアントニーとフィロ
 
TRUMPシリーズでは愛を呪縛の形で描写しているところが多くありますが、これははっきりした形ですね
 
新良さんの「引くわー」はお気に入りのセリフだとかw
 

⑥百年の孤独[作・末満健一]

130歳になったラッカは自分の人生を思い返している
ノクは亡くなってしまったが、生涯の伴侶にも出会い、子供や孫にも恵まれている
ただ何か大事なものが思い出せない気がする
 
そこへリリーがやってくる
ラッカはようやく失った大事なものを思い出し、永遠の眠りにつく
 
朴さんの老女からいきなりの幼女への変化は凄まじいですね
ノクに少女純血歌劇を歌わせてリリーに踊らせるという変速技は見事です
 
ここでリリーは両の手を伸ばし、死が望みだと語ります
 
 
 
今回の黑世界でリリーがソフィとは全く違う立ち位置のキャラに描かれています
 
ソフィは自分の孤独を埋めるために何でもする狂気に落ちていましたが、リリーは若干身勝手なところはあるものの、自分のためには力を使うことがないという特徴になっています

リリーにあるのは孤独よりクランのみんなを殺してしまったという罪の意識なのでしょう
 
この思いがリリーの永遠の旅人としてのキャラを作り出しているのではないでしょうか
 
 
末満さんも黑世界2みたいなツィートもしてたので、リリーが旅する世界はもう少し見れるのではないかと期待しています
またそのときには鞘師さんを使ってあげて欲しいですね