やばい、

調子にのって久しぶりに映画立て続けに観てたら、

ブログが追いつかなくなってきました。



本当はみんなに紹介したい作品は、もっとあるんだけど、

このブログはあくまでメモとして書いてるので、

どうしても今現在進行形で観てるもの、

初見の作品のレビュー中心になってしまいます。


だから、好きじゃない作品がレビューとして出てくることもあります。


オススメ作品等は、

関連作品として、思いつけばその都度書いていくので、

興味がある方は参考にしてみてください。



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『ロンゲストヤード』


シネフィルから絶大な人気を持つ、ロバート・アルドリッチ監督作品。

74年、アメリカです。


あ、

誤解を生むような書き出しでしたが、


正直、

わたくし

大絶賛です。


こんな映画、なかなかめぐり合えません。



ストーリーは単純で、


刑務所に入ったアメフト選手が、

所内で囚人のアメフトチームを作り、

看守チームと試合をして、

勝つ。


超ドストレートなスポ根ものですよね。




でも、観客は絶対に違和感を感じるはずです。




スポ根ものって定石として、

お涙頂戴のシーンが、これでもかと出てくるでしょう?




観ればわかりますが、

この作品にはそんなもの、全くと言っていいほどありません。





現に、色んな映画でしょっちゅう泣いてる私ですが、

まったくもって泣くとかいう反応は、考えられなかったです。




それはもう脚本の段階から、

そういった、無意味に涙を煽るような仕掛けがなかったんです。


話の骨子としては、いくらでもそういう仕掛けは出来ただろうに。





でも、それはこの作品が感情の描写を排している、

という単純な帰結には到りません。




なぜなら、

この映画は、

過剰ともいえる感情の結露としての演技、

身体の躍動を表現する演技を役者に要求する

「肉体の映画」だからです。




演者の感情の揺れを

丹念に捉えるカメラ。


作中、これでもかとクロースアップが出てきます。


顔、顔、顔。


不自然なほどに顔が光るライティング。





人間の体の面白さ。



冒頭、

きっと観客は度肝を抜かれるでしょう。


愛人の顔を鷲掴みにして、壁に叩きつける主人公と、

愛人のその歪んだ顔に。


思わず笑っちゃいました。




その後も

囚人同士のケンカや、

まったくどうやって撮影したのかわからない、

本物の試合としか思えないプレーの数々や、

試合中の暴力描写、

肉体と肉体のぶつかり合いが次々と出てきます。




そういった演技の描写の何が特徴的かというと、

私は「スピード」だと思います。


そこに私は黒澤明の演出との共通点を見たりしました。




この演技に観るものは、非常に心を揺さぶられる。


本当に「心を揺さぶられる」というのは、


振れ幅は小さいが、振動数の大きい揺れのことなのです。


もう全編を通して、平均的に振動数の大きな揺れが、

微妙な差異を持っていくつも襲ってきます。






それでは一体、この作品における矛盾、




語りにおける心理描写の省略と、


演技の濃密な描写という矛盾は



何を意味するのでしょうか。






それは私が思うに、映画の真実の一つの姿だと。






この映画のクライマックス、



試合終了まで残り7秒。

最後の攻撃。

スローモーション。



数人のディフェンス、ブロッカーの

膝、腹、肩を踏みつけ、

タッチダウンへの跳躍を、

バート・レイノルズが見せるとき、



水平の運動の波がぶつかり合って、

上への動きとなり、

その高さが頂点に達する瞬間、



どんな古典の彫刻にも負けない、

現代の彫刻が姿を現します。


(決して誇張じゃありません。

観ればわかります。)





この作品の弁証法が描き出すのは、


「映画の肉体」なのです。







ちなみに、


『パラノイドパーク』も、

徹底して、顔にこだわり、

スローモーションで身体の描写をしていたことを考えると、


あの作品、

実はガス・ヴァン・サント meets アルドリッチだった、

という矛盾がまた生まれてきますね。笑







それはいいとして、


この映画の面白さは、まだまだこれだけじゃありません。




物語の筋と全く関係の無い描写が


本気なんです。笑




特に最初の15分とか、

全く別の映画なんじゃないかと。


下手なアクション映画の数十倍興奮するカーアクション。


車を海に落とすシーンも大好きです。

車って、あんなふうに浮くんですね。


最初のシーンにしか出てこない愛人。


所長と交渉するシャワールームの水の滴りよう。

あんなに水が滴ってる意味が分からない。








もー、とにかく観てください!!



リメイクの方はチェックしてませんが、

アルドリッチ作品をリメイクできるはずがない。



オリジナルを、是非!!!!!!