昨日、筑波大の授業にもぐって、(がびーん)

『意志の勝利』の一部を鑑賞しました。


「情報戦略と政治」という授業で、

普通に先生の講義に興味があっただけなんですが、

たまたま授業内で上映された作品が『意志の勝利』で、

作品名を聞いたときには、

思わず「おぉ」と声をあげてしまいました。


言わずと知れたナチのプロパガンダ映画の大傑作です。

かのレニ・リーフェンシュタール監督。

『オリンピア』は一部観たことあったんですが、

こちらは全くの初見。

考えたら授業名にぴったりの作品ですね。


34年にニュルンベルクで行われた党大会のドキュメンタリー。

33年に全権委任法が承認されて、

それ以降政府の映画への介入が始まりますから、

もう絶頂期の映像です。


日本国内版のDVDやビデオでの流通は無いそうで、

授業で観たのも英語字幕版のVHSでした。


授業では詳細の説明は省かれていましたが、

SSとSAに向かってヒトラーが演説していたことから

wikiの解説と照らし合わせると、

おそらく「ルイトポルトアレーナ広場昼間集会」の部分でしょう。

作品のクライマックスみたいです。


16台もカメラを使ってたそうですよ。

いやー、当時も今もなかなかそんなに同時に使うことないですよね。

地味に手の込んだ移動撮影したりもしてます。


そしてそれを超贅沢にフィルム編集してるリーフェンシュタールは、

どんなに爽快な気持ちだったでしょうね。


すごいですよ、あの編集は。


そりゃあ国民も騙されます。

しょうがないです。


31年にグリフィスが最後の作品を作っていて、

編集の技術がこのように継承されたと考えると、

なんだか切なくなります。



ナチのプロパガンダに賭ける情熱は、

ハンパないです。



その末期には、

国威発揚のため、

かつての戦局での勝利の再現を収める映画製作のために、

ノルウェーの現地ロケで、戦争を全て再現しようとしたくらいです。


実際に破壊された街を再建して、

軍隊を集めてまた破壊する、っていう。


イギリスはその情報をすぐさま手に入れ、

もしその撮影が実現されるならば、

昔の敗北を取り返すために、

こちらも実際に軍隊を派遣する、

と、ラジオ放送を通じて伝えていたそうです。

まあ、それが本気かどうかは怪しいですが。


ということは、

映画のために本当に戦争が起きた可能性があったわけです。


(しかしながら、あまりの物資と人員の欠乏と、

兵士たちの意志の乖離のため協力も得られず、

実現はしませんでした。

その代わりベルリンの近くに街を作って破壊する映画を作りました。

その封切りは45年冬。。)



「政治の美学化」(ベンヤミン)なんて、

もう単純には出来そうにないですが、

それと切り離しても、

この問題は、形を変えて今も生き続けています。




「映像を作るために戦争をしているのではない。」

なんて、はっきり言えるのでしょうか。



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ちなみに、今回の授業、


「このナチに勝つにはスターリニズムじゃないと勝てないよね」


という話のようで、後半はマルクス主義の解説を始めていました。


そこで席を立ってしまったので、

その後どういう話が展開されたのかわかりません。


この授業の最終回にはもう一度行ってみたいな、と思うのでした。

どんな結論で締めるんでしょうね。