夏休みが始まって最初の土日が来ました。 先週は塾が休みだったこともあり、家族で海水浴に行ってしっかりリフレッシュしましたが、今週からは少し様子が変わってきています。
息子は仲の良い友達と一緒にSSSTクラスで夏期講習を受ける約束をしていたようなのですが、自分だけSSSに残留となりました。周りの友達がSSSTへ上がっていく中で自分だけが残されたことが、結果として本人のモチベーションに火をつけたようです。落ちたこと自体は残念かもしれませんが、この時期に悔しい思いをしてスイッチが入ったのは、かえって良かったのかもしれません。
部活を周りより少し早い5月末で引退していたため、この1ヶ月は先取りや復習を進める良い期間になるはずでした。しかし本人は「みんなまだ部活引退してないから」と、Netflixでドラマを見たり、ゲームやW杯を見たり、友達と遊びに行ったりと自由気ままに過ごしていました。それがここにきて、ようやく受験生らしい姿勢になってきたように見えます。
「やりなさい」では動かない年齢だからこそ
中3にもなると、親が「勉強しなさい」と言ったところで動くような年齢ではありません。小学生の頃は私のやり方についてきてくれましたが、今は本人自身が納得してやる気にならないと意味がないと感じています。
そのためこの1年間は、学校ごとのメリットや出口戦略、その先の就職や将来のことなどについて、何度も話し合ってきました。
私自身、医学部生・伊野さんの動画などの考え方が好きなのですが、勉強をする理由として「頭がいい方がかっこいいから」といった単純でストレートな動機で十分だと思っています。小難しい高尚な理由を用意するよりも、「かっこいい自分でありたい」というプライドや気持ちを適度に刺激してあげる方が、彼には響くのかもしれません。
受験も高校も、すべては望む未来のための「手段」
私は普段から、「公開テストも、英検も、高校も、大学も、すべては望む未来を手に入れるための『手段』であって、『目的』ではない」ということを口を酸っぱくして伝えてきました。
放っておくと、息子は「次の公開テストの範囲を終わらせること」や「馬渕で上のクラスにいくこと」自体を目的にしがちです。しかし、視野を狭くして目の前のテストや塾の基準に振り回されるのは本末転倒です。北野高校を目指すのも、その先の大学を見るのも分かりますが、大学に入ればまた別のゲームが始まります。大切なのは「将来どうしたいか」という一点だけです。
私自身は紆余曲折あって技術者の道を歩んできましたが、学歴が高かったわけではありません(当時は第一次ベビーブーム世代で私立女子大に入るのもそれなりに大変で、女性の高卒も珍しくない時代でした)。そこから手に職をつけて生きてきた経緯があります。
そのため、息子にもできれば高専(例えば豊田高専からトヨタの技術者を目指すようなルート)へ進み、技術を身につけてほしいという思いがかつてはありました。自宅にはMacやマルチディスプレイ環境を用意し、小学生の頃からScratchやプログラミング教室、アートやデザインに触れさせる機会も作ってきました。
しかし、息子はこれらにまったく興味を示しませんでした。 はっきりと「お母さんみたいにパソコンに張り付く仕事は嫌だ。人と話す仕事や営業系がいい」と言われたため、そのルートは綺麗に諦めることにしました。
息子の描く「理想の将来」と、高校選びの軸
では直近でどう思っているのか聞いてみたところ、 「お母さん、味の素って知ってる?めちゃくちゃホワイトらしいよ」という回答が返ってきました。
時代が「会社に依存しない生き方」を推奨する中で、大手優良企業に入り、ワークライフバランスを保ちながら休みをとって海外サッカーを観に行ったりする生活を送りたい――それが現時点での息子のやりたいことのようです。
今からの時代、そのルートも一筋縄ではいかないかもしれませんが、AIの台頭なども踏まえると、こうした手堅い生き方も選択肢として十分あり得るのかもしれません。私自身は「手に職」タイプでしたが、日本の真っ当なルートに乗って優良企業を目指す生き方を本人が望むのであれば、それを目指すのも一つの道です。
「5大商社とかもあるよ」と話してみると目を輝かせていました。我が家ではこれまでオーストラリアや東南アジアなど近場を中心に海外へ連れて行ったり、小2からオンライン英会話を続けさせたりしてきたため、英語や海外に対する抵抗感は少ない方だと思います。
「そういう商社などを狙うなら、京都大学などに近い高校に入っておく方が確実かもしれないね」という話をしてから、北野や天王寺に対する意識は一段と高まったように感じます。
勉強「だけ」では通用しない。公立ルートの屈強さとこれからの戦い方
息子は根が溌剌としていて、勉強以外にもエネルギーを注いできたタイプです。小学校からサッカーに打ち込みキャプテンを務めたり、学校で合唱コンクールの取りまとめをやったり、もちろんピアノも。自分の軸を持っています。また、SNS(Instagram、X、TikTok)のアカウントも自身で運用させるなど、将来の就活時にもアピールできそうな経験を今から積ませています。
結局のところ、ただ勉強ができるだけで良い出口(希望するキャリアや未来)にたどり着けるわけではありません。
大学に入ればまったく別のゲームが始まりますし、社会に出てからも求められるのは勉強以外の「自分自身の軸」や人間性です。
そして、北野を目指すような家庭や子供たちを見ていると、そうした「勉強以外にも軸を持ち、要領よく全方位でタフに立ち回る」ことがごく当たり前のように備わっています。レールが用意された私立中高一貫校とはまた異なり、自力で部活も行事も人間関係もこなしながらトップ校を狙っていく――この過酷な公立ルートを勝ち抜いていく子たちの「屈強さ」は、まさにそこにあるのだと感じます。
だからこそ、今の受験勉強も単なるゴールではなく、将来の目的を叶えるための「数ある手段の一つ」として捉えてもらう必要があります。さまざまな経験や軸を背負った上で、この受験というプロセスをタフに走り切ってくれればと思っています。
この夏、彼がどこまで自分の目的意識を持って進んでいけるのか、静かに見守りたいと思います。